二重床における支持脚の適切なピッチと設置ポイントとは?

   医院新築に伴う置床・乾式二重床及びOAフロア支持脚設置施工

二重床構造は、マンションやオフィスビルの床下配線や防音性向上のために広く採用されています。その安定性や耐久性を確保するためには、支持脚(支持ボルト)を適切なピッチ(間隔)で配置することが重要です。本記事では、支持脚の基本的なピッチの考え方や注意点、設置の流れまで詳しく解説します。

二重床とは?構造と役割の基本

二重床とは、コンクリートスラブの上に支持脚を立て、その上に床パネル(主にパーティクルボード)を敷いて作る床構造です。床とスラブの間に空間を確保することで、配線や配管の自由度が高まり、防音や断熱の効果も期待できます。

この構造で重要な役割を果たすのが支持脚です。支持脚の設置間隔を適切に保つことにより、床のたわみや沈み込み、騒音の原因となる振動を防止できます。

支持脚の基本ピッチ:短辺・長辺で異なる設計基準

短辺方向の支持脚ピッチは300mm以内

一般的に、パーティクルボードの短辺方向における支持脚のピッチは300mm以内(実際には309mmまで可)が推奨されます。これは板のたわみを防ぎ、均一な荷重分散を確保するためです。
短辺は構造的にたわみやすく、頻繁な歩行や荷重がかかる箇所では、特にこの基準を守ることで床鳴りや沈み込みといった問題を回避できます。

長辺方向の支持脚ピッチは455mm以内

長辺方向に関しては、455mm以内(実際には459mmまで)が標準です。短辺に比べて荷重の分散がしやすいため、やや広めのピッチが許容されています。
ただし、重い家具を置く位置や、頻繁に人が通行する部分では、さらにピッチを狭めることで耐久性が向上します。

開口部や特殊部分への追加支持脚設置ルール

開口部(点検口・床下収納・配線スペースなど)がある場合には、通常の支持脚配置だけでなく、以下のような追加設置が求められます。

  • 開口部の四隅に支持脚を追加する
  • パーティクルボードの目地が開口部にかかる場合は、開口が200mm以内であっても支持脚を追加
  • 200mmを超える開口部には、必ず支持脚を枠下に設置

これらは、開口部分に集中する荷重やたわみを防止するための重要な措置です。設置を怠ると、床材の割れや沈み込みが発生する原因となります。

支持脚の設置手順と水平調整のポイント

1. スラブ面に墨出しをして基準線を設置

支持脚の位置決めは、床を張る前に間仕切り壁の位置を確認しながら行います。スラブ面に墨を打ち、基準となるラインを明確にしておくことで、正確な支持脚配置が可能になります。

2. 支持脚の取り付けと高さ調整

支持脚は、ボルトとナットで構成されており、高さ調整が容易です。設置時にはレベル調整器具や水平器を使って、隣接するパネル同士の段差が出ないよう慎重に作業を行います。

3. パーティクルボードの敷設と固定

パーティクルボードは、一列ずつ順に設置していきます。ジョイント部分は同じ位置で揃えず、ずらして配置することで強度が増し、揺れにも強くなります。

固定には、接着剤と専用の頭付きフィニッシュネイルを使用します。接着剤を塗布した上で、体重をかけながら打ち込むことで密着性を高め、床鳴りを防止します。

施工上の注意点とトラブル回避策

  • 湿気・水濡れ対策:パーティクルボードは湿気に弱く、床下換気が不十分な場合はたわみや腐食の原因になります。特に水回りでは避けた方が無難です。
  • 配管との接触回避:配管にパネルが接すると振動で床鳴りが発生します。配管周囲は隙間を確保し、直接接触しないよう調整しましょう。
  • 開口部周囲の補強:開口部に対して支持脚だけでなく、補強枠材の取り付けも検討すると安心です。

まとめ:正確なピッチ設計で安全・快適な二重床を実現

二重床の施工で重要なのは、支持脚の適切なピッチと正確な設置です。短辺・長辺方向で異なる間隔の基準を守り、開口部には必ず補強脚を追加することで、長く快適に使える床を実現できます。

また、施工後の水平調整や配管との離隔にも注意することで、トラブルを防ぎ、安心できる二重床空間が完成します。設計段階からこのようなポイントを意識しておくと、施工後の後悔を防げます。

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