◆体育館スポーツフロア施工前◆
朝一番、ホテルの体育館に足を踏み入れた瞬間——「おっとっと!」。
思わずバランスを崩しそうになるほど、床がツルツルに摩耗していた。まるでスケートリンク。
おまけに光沢も完全に失われ、くすんだ床はなんとも哀愁を漂わせている。
「これは手ごわいな……」と天井を見上げる。スポーツコートラインもかすれ、消えかけている。
まるで歴戦の勇士のような床だが、今日から新たな命を吹き込んでやるぞ!
ここだけの話、実は、酷いところではラインがほぼ消滅していることもある。
バスケなのかバレーなのか、何の競技をやる場所なのかすら分からない状態になることも。
「あれ? ここって何のコートだっけ?」って頭が真っ白になる。もうちょっと早くやってほしかったと……
でも、メンテナンスの醍醐味は、俺たちの手で見違えるように蘇ることなんだ。
◆ポリッシャー掛け施工状況◆
さて、ポリッシャー作業だ。ここで重要なのは「適材適所」。
削ればいいってもんじゃない。力加減を間違えると、1回の塗装じゃ仕上がらなくなる。
「さぁ、いくぞ!」と機械のスイッチを入れると、ポリッシュが唸りを上げる。床の表面を丁寧に研磨し、滑りやすくなっていた層を削り取る。
「削る、削る、削る……よし! いい感じだ!」
だが、気を抜くと——「あっ、危ない!」研磨しすぎてしまうこともある。
絶妙な力加減が問われる、まさに職人技の見せどころだ。
「慎重に……慎重に……」まるでフグの薄造りを作る料理人の気分だ。
削りすぎると元に戻らない、だからこそ、少しずつ様子を見ながら進めていく。
「お、これなら大丈夫だな!」と確認しつつ、まるちゃんとアイコンタクト。みんなの経験と勘が頼りになる場面だ。
ポリッシャー掛けが終わったら、次は床に舞い散る研磨粉の掃除。
この粉が残っていては、次の工程に大きな影響を与えるどころか仕上がらない。
「その様は、まるで黄砂が飛んできた後の車のようだ……」
白く舞う研磨粉に包まれながら、掃除機とモップで徹底的に清掃。
ここまで来ると、床もすっかりスッピン状態。さぁ、次はいよいよウレタン塗装だ!
◆ウレタン塗装◆
塗装は大胆に、かつ繊細に。巨大な刷毛を持ち、たっぷりのウレタン塗料を塗っていく。
「よし、一気に塗るぞ!」
長年の経験で、均一に塗るテクニックはバッチリ。刷毛を滑らせるたびに、床がしっとりとした輝きを取り戻していく。まるで乾いた大地が恵みの雨を受けるようだ。
「いいぞ、いいぞ! 仕上がりが完璧だ!」と、一緒に来ている職人たちも満足げにうなずく。
◆完工◆
最後の仕上げをして……ついに完成!
「どうだ、この光沢!」
ピカピカに生まれ変わった体育館の床。まるで新品のような仕上がりに、俺も思わず「おお〜っ!」と歓声を上げる。
「ここでバスケしたら気持ちいいだろうな!」と床を眺める。
苦労した甲斐があった。俺たちの手で、また一つ、体育館の床が蘇った。
この瞬間がたまらない。
さて、次の現場でも、頑張るぞー!