マンションや公共施設の床下を理解するには、床工事の基本から知る必要があります。
主に2つの方法がありますが、その違いは何でしょうか?
まず、直貼り工法ではフローリングをコンクリートのスラブ上に直接貼り付けます。
一方、置床工法、別名二重床工法では、フローリングの下に特定の下地材を設置します。
下記の写真をご覧いただくとイメージしやすいかもしれません。
コンクリートスラブがありますが、この上に直接フローリングを貼るか、置床工法で、二重の床をつくるかになるんです。
置床工法の特徴は、支持脚を使用する点です。
これらは専用ボンドで固定され、防振用のゴムがついているものもあり、防音効果を向上させる役割を果たします。
主に2階以上の部分に使われます。
また、支持脚はドライバーで回転させることができるようになっており、低くしたり高くしたりが容易にできます。
高さ調整が可能で、床スラブの凹凸を補正できます。
特に、壁際ではシステムネダ、またはキワネダと呼ばれる端材を使用し、支持脚を設置します。
このように、マンションや公共施設の床下は、見えない部分で多くの技術が駆使されており、快適な空間作りに不可欠な要素が隠されています。
今回行う置床工事は、パーティクルボード20㎜の上にフローリングの12㎜を貼っていく最もコストパフォーマンスに優れた仕様です。
ただし施設の利用方法や使用頻度によってはもっと強度がほしいところです。
乾式二重床の一般的な仕様として多いのはフローリング15㎜と構造用合板12㎜、そしてパーティクルボードの20㎜、合わせて47㎜の厚みの。
たまにあるのですが、仕上げ天端まで調整幅も考えると100㎜ほど欲しいのですが、そこまで高さが確保できないこともあります。
そう行った時には、低床用の指示脚を使います。
支持脚の設置後、パーティクルボードと呼ばれる厚手の板を敷きます。
この段階を経ることで、床の基本的な構造が形成されます。
次に、コンパネという別の板材を上に重ね、最終的にフローリング材を貼り付けます。
仕上げまでの考え方には、何通りかあり、パーティクルボードのみで下地か、さらに上にコンパネを貼るのか?また二重張りにして強度を上げるのか?他にも制振材を入れるのか様々ですが、その意味合いは性能の確保や仕上げ材への影響によるものです。
この現場は、フローリングの部分はパーティクルボードで、トイレは捨て貼りを行う仕様でした。
このように、支持脚、パーティクルボード、フローリングの順に材料を重ねていくことで、床の防音効果が向上します。さらに、支持脚の存在により、床下のスラブの凹凸がフローリング材に影響を与えず、完全に水平な床面を実現できるのです。
置床工事は、見た目の美しさだけでなく、快適な居住空間をための床をつくりだします。
適切な材料の選択と正確な施工により、長期にわたる床の品質と機能性を保証します。
次にフローリングを貼っていきます。
まずは、墨出しを行います。基本的に部屋の長手に沿ってフローリングを貼っていきます。
板材の数センチメートル外側に、壁に対して平行になるように基準線を引きます。
これが基準線になりフローリングを敷く上でのガイドになります。
板が曲がることなく、きれいに平行に敷いていくことがでます。
特に、最初に敷く1枚目の板の位置が非常に重要で、この1枚が全体の仕上がりを左右するため、細心の注意を払って作業を行う必要があります。
次に、床面にフローリング貼り用の接着剤を均等に塗布し、その上にフローリングを貼っていきます。
この工法は根太張り工法や捨て貼り工法と呼ばれ、フロアー釘を使用するだけの施工に比べて、より強固に固定をされるため将来的な床鳴りも防ぐことができます。
次に、既に固定された板材と新しい板材の端(さね部分)をピッタリと合わせます。
このとき、あて木を使用し、金づちで軽く叩くと、さね部分をきちんと差し込むことができます。さねがしっかりと入っていないと隙間になってしまうので一枚いちまいしっかりと差し込んでいきます。
その後、さね部分にフロアー釘を必要なピッチで打ち込みます。
釘の頭は専用の道具でしっかりと沈めて固定します。
この一連の作業を、フローリング全体にわたって繰り返していきます。
最後に、フローリングの端部分、特に壁際になる部分は、正確にカットして施工します。
接着剤を床に適量塗布し、カットした板材を設置します。
このとき、板材の端には頭を平らにしたフィニッシュという釘を打ち込み、目立たないようにします。
これらの釘は後ほど取り付ける巾木で覆うことができるため、見た目も美しく仕上がります。
置床工事は、ビルやマンション、公共施設の床に、防音性や水平性などの性能を付加する事ができます。