新しく完成を待つ北里アリーナ富士。バスケットボール3面分を誇るメインアリーナや多目的エリア、トレーニングエリアなど多彩な利用が見込まれていますが、床材選びや施工段階でつまずくと、せっかくの施設も本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。
部活動の練習や地域イベントの開催を予定していたのに、床の滑りやたわみ、色あせたラインで「そーだよなぁ、これじゃ思いきり動けないよ」と嘆くことがないよう、床材の選定から下地構造、工事スケジュール、安全基準、定期メンテナンス、さらにはネーミングライツを生かしたデザイン演出まで、北里アリーナ富士の床工事に関わるすべてを解説します。
床材の選定と比較
新設体育館でまず検討したいのが床材の種類です。
用途や予算、メンテナンス性に応じて、最適な材料を選びましょう。
木製フローリング
耐久性と弾力性に優れ、バウンドの均一性やグリップ力が高いのが特徴です。
バスケットボールやバレーボールなど競技重視の利用に適しています。
ただし、2年~5年1回程度のトップコートのみ(使用頻度にもよる)のメンテナンスが必要で、コストと手間を見込む必要があります。
長尺シート(塩ビシート)
塩化ビニル製のシートを発泡層と組み合わせたもので、水や汚れに強くメンテナンスが容易です。
多目的利用や軽量器具の設置が多いエリアにも向きます。
ただし衝撃吸収性やバウンド性能は木製床に劣るため、利用用途に合わせた仕様を検討してください。
床材比較表
床材種類 | 耐用年数 | グリップ性 | 衝撃吸収性 | メンテナンス頻度 | コスト感 |
---|---|---|---|---|---|
木製フローリング | 20~30年 | 高 | 高 | 年1回研磨・再塗装 | 中~高 |
長尺シート | 10~20年 | 中 | 中 | 清掃中心、10年張替え | 低~中 |
下地構造と施工方法
床の耐久性・安全性は下地構造によって大きく変わります。
北里アリーナ富士では長期利用を見据えた堅牢な下地を設計します。
鋼製束式床下地
鋼製束を基礎コンクリートに固定し、防湿シートやクッションパッドを挟んで合板を敷設する方式です。
床下の通気性と防湿対策が行いやすく、たわみや沈み込みを抑制します。
組床式床下地
金属レールを基礎コンクリート上に設置し、パネル床を組み立てる方式です。
施工性に優れ、部材交換やメンテナンスが比較的容易なのが特徴。体育館のレイアウト変更などに柔軟に対応できます。
工事スケジュールと段取り
竣工予定の2025年3月に向けた床工事は、基礎工事から仕上げまで細やかな調整が求められます。
土台・下地工事段階
2024年夏頃から基礎コンクリート打設が完了し次第、鋼製束固定を開始。
雨天時の養生や湿度管理に配慮し、通年型空調で乾燥環境を保ちながら作業を進めます。
床材敷設・塗装仕上げ段階
2024年秋以降に選定床材の敷設を実施。
木製フローリングなら接着剤養生、長尺シートなら熱溶接を行い、冬季の施工でも気温管理を徹底。
その後、ライン(シート床材)またはウレタン塗装(木製床)で仕上げを施し、色むらや塗膜剥離を防ぎます。
コートライン・検査段階
仕上げ後に位置決め→競技に準拠したコートラインを新規描画。
完了後は摩擦係数試験・転倒時硬度試験・視認性チェックを行い、基準をクリアしてからの引き渡しとなります。
安全性・耐久性・メンテナンス性
新設後も床の性能を維持するためには、定期的な点検と計画的なメンテナンスが欠かせません。
定期メンテナンス計画
木製床は年1回の研磨・再塗装、長尺シートは15年~の再張替え、ウレタン塗り床は5~7年ごとの再塗装を推奨。
床金具(支柱用)は1~2年ごとの点検・交換で耐荷重性能を確保します。
ブランド演出と床デザイン
北里コーポレーションのネーミングライツ取得によって「北里アリーナ富士」と命名された新体育館。床面にもブランド演出を反映しましょう。
ロゴ・カラーライン
コートサイドや練習エリアに北里ロゴを配置し、北里ブルーをアクセントカラーに用いたラインデザインを施工。
床材塗装と調和させつつ、視認性とブランディングを両立させます。
多目的エリアと床材使い分け
メインコートは高競技性能の木製フローリング、多目的エリアは色彩豊かな長尺シートを採用。
エリアごとに素材感を変えて、利用シーンに合わせた演出を実現します。
最新情報の入手方法
工事進捗や休館情報、メンテナンススケジュールは以下で確認しましょう。
北里アリーナ富士公式ウェブサイト(施設休館・工事情報)
みんなのふじ株式会社 発注情報ページ
静岡県公共施設情報システム(施工計画・入札公告)
施設管理事務所への電話・メール問い合わせ
まとめ
北里アリーナ富士の床工事は、安全性・耐久性・ブランド演出を高次元で両立させるための総合プロジェクトです。
床材選定から下地構造、施工スケジュール管理、定期メンテナンス計画、さらにはネーミングライツを生かしたデザイン演出までを網羅的に理解し、計画的に進めることで、竣工後のスポーツライフをより安心・快適で充実したものにできます。
リニューアルされた滑りにくく耐久性の高い床面で、北里アリーナ富士を存分にご活用ください。