無垢フローリングは、天然の木材をそのまま使った贅沢な床材です。
その温もりや香り、足ざわりに惹かれて採用する方も多い一方で、「部分的に傷んでしまったとき、どうすればいいのか」と悩む声も少なくありません。
すべて張り替えるのは大変だけど、一部だけの交換で済むなら費用や工期を抑えられて助かりますよね。
実際に、無垢フローリングの“部分張り替え”や“重ね張り”は可能です。
しかし、自然素材ならではの難しさも伴うため、判断には慎重さが求められます。
この記事では、無垢フローリングの部分張り替えや重ね張りの可否、施工方法の違いや費用、注意点などをわかりやすく解説します。
無垢フローリングの部分張り替えは可能?まずは基礎知識から理解しよう
無垢フローリングはその性質上、「部分的な張り替えは難しい」と言われることがありますが、正しく理解すれば施工は十分可能です。
ただし、素材の特性によっていくつかのハードルがあることも事実です。
色や質感のバラつきが発生しやすい
無垢材は天然木であるため、同じ樹種でも色や木目、風合いが一つひとつ異なります。
そのため、新しく張り替えた部分と既存の床との境目に違和感が出ることがあります。
たとえば、10年以上経った既存のフローリングと、張りたての新品では色味が大きく違うケースが多く、時間の経過による「経年変化」も揃いません。
同じ木材を見つけるのが難しい
施工時に使用した無垢材とまったく同じ種類、同じメーカー、同じ加工をされた木材が手に入るとは限りません。
特に古い建物では、同じフローリングがすでに廃盤となっていることもあります。
部分張り替えの2つの施工方法と特徴
無垢フローリングの部分張り替えには、大きく分けて2つの施工方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に合った方法を選びましょう。
尚、ここでいう部分的な重ね張りとは、1部屋単位のことで、1枚あたりの重ね張りでは対応できません。
施工方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
剥がして張り替える | 傷んだ床を剥がし、新しい無垢材を張る方法 | 下地確認ができる/材質変更も可能 | 工期・費用がかかる/色合わせが難しい |
重ね張り(上張り) | 既存の床の上に新しい無垢材を張る方法 | 工期短縮/撤去費が不要/エコ | 床の高さが上がる/床下の確認ができない |
剥がして張り替える方法
もっとも基本的で確実な方法です。
傷んだ床材を剥がして新しいものに入れ替えるため、施工後の仕上がりが美しく、下地の点検や補修ができるのが大きなメリットです。
ただし、材料費や作業費が高くなる傾向があり、色合わせの難しさも伴います。
重ね張り(上張り)による部分補修
床の解体を行わず、そのまま上から新しいフローリングを貼る方法です。
工期が短く済み、費用も安くなる傾向があります。
ただし、重ねることで床が1〜2cm高くなるため、開閉式のドアやクローゼットに支障が出る可能性があります。
また、下地の確認ができないため、構造的な不安がある場合には適していません。
部分張り替えの費用相場と材料別の比較
部分張り替えの費用は、使用する無垢材の種類や施工方法、張り替える面積によって異なりますが、以下が一般的な相場です。
無垢材の樹種例 | 張り替え方法 | 1畳あたりの費用目安(工事費込み) |
---|---|---|
パイン材(柔らかめ) | 剥がし+張り替え | 約25,000〜30,000円 |
オーク材(標準的) | 剥がし+張り替え | 約30,000〜40,000円 |
ウォールナット(高級) | 重ね張り(薄型) | 約35,000〜45,000円 |
上記は1畳(約1.62㎡)あたりの目安ですが、張り替える箇所が小さいほど単価が上がる傾向にあります。
また、重ね張りのほうが一般的に工費は抑えられます。
無垢フローリングの部分張り替えで失敗しないための注意点
無垢材は生きた素材であり、施工には細かな配慮が必要です。以下のような点に注意しておくことで、満足のいくリフォームが実現できます。
無垢材の入手可能性を確認する
施工に入る前に、既存のフローリングと同じ木材が入手できるかを確認しましょう。
どうしても揃わない場合は、「似た木種+塗装で色を合わせる」といった調整が必要です。
色合わせや木目の違いを許容できるかを検討する
部分的な補修は、どうしても色や風合いに差が出ます。
その点が気になるかどうか、ご家族で共有しておくと後悔が少なくなります。
専門業者に相談する
施工には高度な加工や下地調整、色合わせの技術が求められます。
安易なDIYで行うと、かえって仕上がりが悪くなったり、床材を無駄にしてしまうリスクがあります。
小さな傷やへこみなら「補修」も選択肢に
部分的なキズやへこみであれば、張り替えではなく補修で十分対応できる場合もあります。例えば、
- へこみにはスチームアイロン+布で膨らませる
- 引っかき傷には補修ワックスやクレヨン
- 広範囲のくすみには再塗装(オイルやワックス)
といった方法があります。プロに相談すれば、リペア(補修)で見違えるほどキレイになるケースも多いです。
最小限の切削で張り替えられる「床はるリペア」という選択肢
最近注目されている技術に、「床はるリペア」という工法があります。
これは、傷んだパネル表面だけを精密に削り、新たなパネルをピタリとはめ込むというもので、従来の張り替えより施工面積・費用・工期を抑えられるのが魅力です。
- 対象が限られるが、精度の高い職人技術により違和感の少ない仕上がりに
- フローリングの一部交換にとどめたい方に最適
- 量産品ではない場合は加工対応力が必要
施工対象や予算に応じて、この選択肢も検討してみる価値は十分にあります。
無垢フローリングの部分張り替えは、プロと一緒に「正しい方法」を選ぶことが重要
無垢フローリングの部分張り替えは、完全な新品同様にするというより、「違和感を減らして快適にする」という発想で行うのが成功のカギです。
自然素材ゆえにハードルもありますが、専門知識と技術を持つ業者に相談すれば、施工方法や材の選定、色合わせまでトータルにサポートしてくれます。
まずは複数の業者から見積もりを取り、丁寧に比較検討することをおすすめします。
ほんの一部分の工事でも、無垢材の温もりを長く楽しみ続けるための大切な一歩です。
あなたの住まいに合った、最適なリフォーム方法を見つけてください。