床の小さな傷や色ムラが気になり始めると、「この古い床を張り替えずにきれいにできないか」と思い浮かぶものです。
特に無垢材(むくざい)フローリングは何度でも研磨できると聞いて魅力的ですが、合板フローリングの場合はどうでしょうか。
「費用が高いのでは」「そもそも研磨できるの?」と不安になる方も多いはずです。
この記事では、無垢材と合板フローリングそれぞれの研磨費用相場や、DIYと業者依頼の違い、張り替え・補修とのコスト比較、費用変動のポイントまで、具体的に解説します。
この記事を読めば「どちらの床でもほぼ同じ費用で研磨できるが、研磨できない床もある」という答えと、その理由がはっきり分かります。
無垢フローリングの研磨費用相場
無垢フローリングの場合、床材に十分な厚みがあるため、表面を数ミリ削るだけで新品同様の木肌を露出させられます。
研磨のみの費用相場は1㎡あたり5,000円〜6,000円程度で、これには旧塗膜(きゅうとまく)や小さな傷を落とし、下地を平滑(へいかつ)にする作業が含まれます。
さらに仕上げとして自然オイルを塗布する場合は1㎡あたり2,000円〜4,000円を加え、合計で7,500円〜10,000円/㎡が一般的です。
床の傷の深さや範囲に応じて研磨回数を増やしたり、オイルの塗り重ねを行ったりすると、多少単価が上がる場合がありますが、無垢材の持つ素材感を生かしつつ、光沢や風合いを新品時に近い状態まで回復できる点が魅力です。
合板フローリングの研磨費用相場
合板フローリング(複合フローリング)は表面に薄い無垢材もしくは化粧板を貼った構造のため、研磨できる厚みが限られます。
研磨可能な板厚が1mm未満の場合、表面を削ると芯材まで削り込んでしまい、仕上げの塗装が乗りにくくなる可能性があります。
そのため、業者によっては「合板フローリングは研磨不可」とする場合もありますが、研磨可能な製品であれば無垢同様に5,000円〜6,000円/㎡前後で施工可能です。
オイル塗装を合わせた場合も7,500円〜10,000円/㎡程度で、コスト面では無垢材とほぼ変わりません。
ただし、床材の厚みによっては研磨深度を浅く抑え、塗装だけで風合いを補正する「ライトメンテナンス」に留めるケースが多く、その場合はオイル塗装のみの料金(約2,000円〜4,000円/㎡)での対応となります。
〈費用比較表〉無垢材 vs 合板材 研磨費用
床材の種類 | 研磨のみ(5,000〜6,000円/㎡) | 研磨+自然オイル(7,500〜10,000円/㎡) | 研磨不可時の代替案(塗装のみ) |
---|---|---|---|
無垢フローリング | 対応可 | 対応可 | - |
合板フローリング | 薄板製品は要確認 | 薄板製品は要確認 | オイル塗装のみ(2,000〜4,000円/㎡) |
業者依頼とDIY、それぞれのポイント
研磨を業者に依頼すると、工期は半日〜2日程度で完了し、現地調査から見積もり、研磨・塗装・清掃まで一連の作業を任せられます。
多くの業者が無料相談や現地見積もりを実施しており、希望すれば塗料の種類や研磨深度の提案も受けられます。
ただし、DIYで行う場合は電動サンダーやサンドペーパー、自然オイルの工具・材料費が必要です。
DIYのメリットは材料費だけの負担で済む点と、自分のペースで進められる点ですが、作業に慣れていないとムラ研磨や削りすぎのリスク、そして粉塵対策や仕上げ技術の面で難易度が高くなります。
費用を抑えたい場合は、研磨は業者に任せ、塗装のみDIYで行うハイブリッド方式も検討できます。
張り替えやリペアとのコスト比較
研磨再生は張り替えや小規模補修と比べると、コストパフォーマンスに優れています。
張り替えの場合、1㎡あたり8,000円〜20,000円程度の費用がかかり、材料廃材処分費や工期(2〜5日)も必要です。
一方、傷の小さな凹みだけを気軽に直すリペア(部分補修)なら1箇所5,000円〜から対応可能ですが、面積単価は高めです。
研磨再生は床全体をまとめてリフレッシュできるうえ、無垢材なら数ミリずつ繰り返し再生できるため、長期的に見ればコストを抑えつつフローリングを維持できる賢い方法と言えます。
研磨費用が変わる要因と注意点
研磨費用は床の状態や使う塗料、追加工事によって変動します。
たとえば、床鳴りの原因となる下地の修理や、段差を解消する補修が必要になると補修費用が別途発生します。
また、家具を移動する場合に有料サービスを利用すると、搬出・養生費が発生することがあります。
塗料は自然オイルのほかに水性ウレタンなどがあり、これらは塗膜の硬度や光沢感、乾燥時間、耐水性に差があるため、単価も2,500円〜6,000円/㎡と幅があります。
業者依頼時には、見積書にこれらの追加工事項目や塗料仕様を明記してもらい、費用総額を必ず比較・確認してください。
研磨再生の効果とメンテナンス
研磨再生後は、木材本来の色合いや質感が鮮やかに蘇り、表面の汚れや細かな傷が消えるため、掃除もしやすくなります。
オイル塗装なら半年ごとのオーバーコートでツヤと保護機能を維持でき、ウレタン塗装は5年程度の耐久性があります。
日常の手入れは掃除機や乾拭きが基本で、水拭き時は固く絞った布巾を使用し、こまめに拭き取ることでフローリングの寿命をさらに延ばせます。
研磨再生は、無垢材も合板材もほぼ同じ費用相場で床をリフレッシュできる有効なメンテナンス方法です。
床材の種類に応じた研磨可否や、費用変動要因、DIYか業者依頼かの選択基準を押さえて、大切な住まいのフローリングを長持ちさせましょう。