入居してしばらくすると床に小さな傷や色ムラが目立つようになって、「あれ、ここってこんなだったっけ?」と気になりませんか。
くつずれの擦れ跡やテーブル移動の時にできた浅い線傷が、掃除のたびに目につくあのストレス。
そのまま放置すると埃がたまりやすく衛生面も心配になりますし、友人を招いたときに「汚い部屋だな」と思われかねない…賃貸だから勝手に張り替えもできないし、修繕費用がかかるかどうかもわからない。
そんな悩みを抱える人に向けて、賃貸アパートのフローリングにまつわる修繕費の負担ルールから、自分でできる保護・予防策、さらには専門業者への相談タイミングまで、順序立ててわかりやすく解説します。
賃貸アパートのフローリング修繕費負担の基本ルール
賃貸物件では、フローリングの修繕費用は「経年劣化・通常損耗」と「入居者過失」によって、大家さん負担か入居者負担かが分かれます。
経年劣化や日常生活で避けられない小さな擦り傷、家具の設置跡や日光による色褪せなどは通常損耗とみなされ、大家さん側が修繕費用を負担するのが一般的です。
一方で、重い家具を無断で引きずってできた大きな凹みや、ペットの爪痕、飲み物をこぼして変色させたといった入居者の不注意や故意による損傷は、原状回復義務の範囲内で入居者が費用を負担しなければなりません。
大家さんが負担するケース
大家さん負担となるのは、入居者の過失と関係なく経年で生じる劣化や、構造的な問題で発生した損傷です。
たとえば、築年数が経過し床板自体の塗膜が薄くなって擦り傷が全体に広がった場合や、雨漏りによる水シミ、窓から差し込む直射日光による色落ち、家具を置いていた跡がくっきりと残るケースなどが該当します。
これらは入居者の入退去にかかわらず自然に発生するため、契約書の特約がない限り大家さん側が修理・交換費用を負担します。
入居者が負担するケース
一方、入居者の過失と判断されるのは、明らかに通常の使用範囲を超えた傷や汚れです。
具体的には、大型家具を移動する際に下敷きのフェルトを用いず傷つけた凹みや、ペットの飼育でフローリングに深い爪痕を多数つけてしまった場合、あるいは油性のインクや飲み物をこぼして床材を変色させたケースなどが挙げられます。
これらは「通常の生活で避けられる」と判断されるため、入居者が原状回復費用を負担する義務があります。
修繕費用負担の比較表
負担者 | 対象となる症状・原因 | 主な具体例 |
---|---|---|
大家さん | 経年劣化・通常損耗 | 全体的な塗膜剥がれ、雨漏り跡、日光色褪せ |
構造的要因による劣化 | 床板の反り、湿気によるわき上がり | |
入居者 | 入居者の過失・故意 | 家具の無防備な移動、ペットの爪痕、油汚れ |
本来避けられる損傷 | 重量物による深い凹み、変色 |
この表を参考に、入居時の傷や退去時の原状回復トラブルを回避するため、契約書の修繕費負担特約をしっかり確認しましょう。
フローリングを長持ちさせる予防策
修繕費を抑える最善策は、日頃からフローリングを傷つけない工夫をすることです。
まず、テーブルや椅子など家具の脚には必ずフェルトシールやキャップを貼って、移動時の摩擦を軽減します。
次に、リビングや通路など人通りの多い場所にはカーペットやラグを敷き、直接の擦れを防止しましょう。
さらに、半年に一度程度のワックスがけで表面に保護膜を作ると、軽度の擦り傷や汚れが付きにくくなり、万が一汚れても拭き取りやすくなります。
カーペットやラグの活用
毛足のあるラグや滑り止め付きカーペットは、家具の脚が直接フローリングに触れることを防ぎ、掃除機のヘッドで傷がつくリスクも低減します。サイズやデザインを自由に変えられるため、気分転換にもなり、部屋の印象を手軽にリフレッシュできます。
おしゃれな柄のラグならインテリア性も高く、賃貸の制約を感じさせないメリットがあります。
ワックスがけによる保護
フローリング用のワックスは、木材表面に薄い保護膜を形成し、水滴や汚れをはじく効果があります。
床材に合わせて水性タイプ・油性タイプを選び、説明書どおりに塗布後、24時間程度乾燥させれば完了。ツヤの度合いも調整できる製品が多く、定期的に行うことで傷がつきにくいうえ、軽い汚れなら乾拭きだけで落とせるようになります。
DIYでできるフローリング保護・上貼り活用術
賃貸でも原状回復義務を果たしながら、フローリングを保護・リニューアルできるDIY方法があります。
まず、クッションフロアを上から敷くだけの「上貼り」工法は、薄手のビニルシートを床全体に貼り付けることで摩耗や汚れをガード。
賃貸では退去時に剥がせるタイプを選び、両面テープで固定すれば跡を残しません。
ただし、防音フローリングや二重床構造の場合は、厚手シートによって床鳴りや遮音性が変化する可能性があるため、管理会社への相談が必要です。
湿気対策でカビ・変形を防ぐ
日本の梅雨時や冬場の結露季節は、床下に湿気がこもりやすく、フローリングの反りやカビ発生の原因になります。
対策としては、定期的に換気扇を回す、除湿機を設置して室内湿度を50~60%に保つ、家具の下にすのこや通気マットを敷いて空気の循環を促すなどがあります。
特にキッチン周りや窓際など水や熱がこもりやすい場所は優先的に対策を行い、シミや板の剥がれを未然に防ぎましょう。
専門業者に相談すべきタイミング
DIYや日常メンテナンスで対応しきれない深い凹みや広範囲の色ムラ、床板自体の反り浮きが見られる場合は、専門業者への相談が安心です。
プロなら、パテ補修と色合わせ、表面磨き、仕上げ塗装まで一貫して行い、保証付きで対応してくれます。
見積もり時には、傷の写真を撮って送付し、床材の種類や築年数、希望の仕上がりイメージを伝えると、当日の追加費用発生を防ぎやすくなります。
まとめ
賃貸アパートのフローリング修繕は、経年劣化による通常損耗なら大家さん負担、入居者の過失なら入居者負担が基本です。
日頃から家具脚保護やカーペット敷設、定期的なワックスがけといった予防策を徹底すれば、修繕費用やトラブルを大幅に抑えられます。
DIYでできるクッションフロアの上貼りや湿気対策も活用しつつ、深刻なダメージが出た場合は専門業者への相談を検討しましょう。
快適な住環境を維持するポイントは、傷が小さいうちに対処し、定期的なメンテナンスを欠かさないことです。
賃貸ならではの制約を理解しつつ、上手に活用して心地よい暮らしを実現してください。