夏の体育館が屋外より暑い?WBGTの重要性と測定方法

夏の日差しが強くなってくると、体育館で過ごす時間にため息をつきたくなることはありませんか。
思わず「外の方が涼しいんじゃないの?」と感じてしまうほど、体育館の中はむしむしとした熱気に包まれています。
しかも直射日光が当たっていないはずなのに、身体はいつの間にか汗だくに。
熱中症の心配も頭をよぎり、運動や授業に集中できないといった悩みを抱える方は少なくないでしょう。
本記事では、そんな体育館特有の暑さの仕組みを解き明かし、具体的な熱中症対策や温度管理のポイントをわかりやすくご紹介します。
これを読めば、「体育館だから仕方ない」と諦めることなく、安全かつ快適に過ごすための知恵と工夫が身につきます。

体育館が屋外よりも暑く感じる理由

体育館は屋根と壁に囲まれている分、外の風が入りにくく空気が停滞しやすい空間です。
一般的な体育館にはエアコンなどの空調設備が設置されていないことが多く、直射日光が直接当たらない分、内部の温度はむしろ上昇しやすい状態にあります。
屋外では太陽光を受けながらも風が吹けば暑さが和らぎますが、体育館内では熱せられた床や壁の輻射熱(ふくしゃねつ)がこもり、熱い空気が排出されずにその場に溜まるため、外気より高温化することがしばしばです。

風通しの悪さが生む熱のこもり

体育館は広い空間であるものの、開口部が限られ、窓や扉を開けても有効な通気路が確保できないケースが多々あります。
結果として空気が対流せず、床面や上部に溜まった熱気が循環しないまま留まります。
このような環境では、人が激しく動けば動くほど体から発した熱も逃げ場を失い、蒸し風呂のような状況を生んでしまいます。

輻射熱と日没後の残留熱

屋根や壁は太陽光を吸収すると熱を帯び、その熱が輻射によって内部に放射されます。
特に午後から夕方にかけては外気温が下がり始めても、建材が蓄えた熱が放出され続けるため、日没後も体育館内の温度は高いまま。
環境省の調査によれば、エアコン未設置の体育館では午後1時頃から屋外を上回る暑さが始まり、午後5~6時に差が最大化し、日没後の午後10時頃まで高温状態が続いていたと報告されています(全国柔道事故被害者の会)。

WBGTの重要性と測定方法

熱中症予防のために欠かせないのがWBGT(暑さ指数)の把握です。
この指標は気温だけでなく湿度や輻射熱を含む複合的な「暑さの危険度」を示すもので、体育館内の環境を正しく評価するためには必ず測定が必要です。
WBGT値をもとに、運動や活動の強度を調整したり、運動時間を短縮したりするなどの判断基準としましょう。

WBGTとは何か

WBGTはWet Bulb Globe Temperatureの略で、湿球温度、黒球温度、乾球温度の3つを組み合わせて算出されます。
単に気温が低くても湿度が高いと体感暑さは増し、逆に屋外の日差しが強い場所では輻射熱が大きく影響するため、気温だけを見ても熱中症リスクは把握できません。

体育館内のWBGTの実態比較表

体育館と屋外のWBGTを比較すると、午後から夕方にかけては体育館内の方が数度高くなることがあります。
以下は一例として示した比較です。

時間帯屋外WBGT(℃)体育館内WBGT(℃)
13:002831
15:003033
17:002935
19:00(日没後)2632

この表からも分かるように、建物に蓄積された熱が運動環境に大きな影響を与えていることがわかります。

熱中症を防ぐための基本対策

体育館での活動中に熱中症を防ぐには、いくつかの基本的なポイントを押さえることが大切です。
特に小まめな水分補給と適切な休憩、さらには運動強度の調整と換気の工夫が効果的です。次節では具体的な方法をご紹介します。

水分補給と休憩のポイント

運動時の発汗による水分と塩分の損失は思いのほか大きく、喉が渇いてからでは遅いことがよくあります。
そのため「喉が渇く前」の段階でこまめに飲むことが肝心です。
目安としては10~15分に一度、コップ1杯(150~200ml)程度を補給しましょう。
また、運動を続ける際は20~30分おきに5分程度の休憩を挟み、涼しい場所で身体をクールダウンさせることが体温上昇の抑制に繋がります。

換気と扇風機活用術

窓や扉を大きく開けて空気の出入口を確保し、扇風機を使って風の通り道を作ることで効果的に熱気を排出できます。
扇風機は単に風を送るだけでなく、建物内部の空気を循環させる役割も果たすため、設置位置や角度を工夫しながら「入口→出口」の流れを意識しましょう。
こうした対策によって温度差を抑え、熱中症リスクを軽減できます。

運動強度の調整

WBGTの数値が高い場合、無理に激しい運動を続けると熱中症の危険が急激に高まります。
WBGTが28℃以上ならば運動中止や強度を落とす判断基準とし、25~27℃の場合でも通常より負荷を軽めに設定するなど、数値を目安にプログラムを見直しましょう。

服装の選び方

吸湿性・速乾性に優れたスポーツウェアを選ぶことで、汗をかいても肌にべたつかず、蒸発による冷却効果が高まります。
綿素材のTシャツは汗を吸いやすい反面乾きにくいため、特に長時間の運動や練習には化繊素材のものがおすすめです。

エアコン利用時の注意点

エアコンが設置されている体育館では、設定温度を28℃以下に保つことが一般的な目安です。
しかし、外気との温度差が大きいと身体に負担がかかるため、湿度管理も併せて行いましょう。
また、冷風が直接身体に当たらないように風向きを調整することで、冷えすぎや局所的な冷房病リスクを抑えられます。

温度と湿度の最適設定

エアコンの設定温度28℃以下、湿度は60~65%程度に保つのが理想的です。
湿度が高すぎると汗が蒸発せず冷却効果が得られず、逆に低すぎると喉や肌が乾燥して体調不良を引き起こす恐れがあります。

外気との差と体調管理

外気温との差が5℃以上になると、屋外から入ったときに身体がストレスを感じやすくなります。
特に運動後は体温が上がっているため、クールダウン時には外気との差を徐々に縮めるよう、入り口付近で少しずつ外気に慣らすと安全です。

湿度によるリスクと警戒レベル

体育館のような閉鎖空間では湿度が70%を超えると、たとえ気温が28℃以下でも熱中症リスクが上昇します。
環境省の基準では、湿度70%以上で「警戒レベル」75%以上で「厳重警戒レベル」と定められています。
湿度計を設置し、数値を常に把握しておくことが重要です。

湿度がもたらす影響

湿度が高いと汗の蒸発が妨げられ、身体は熱を効率的に放散できなくなります。
その結果、体温が上昇しやすくなり、倦怠感やめまい、頭痛といった熱中症の初期症状を引き起こしやすくなるのです。

熱中症警戒レベルの基準

警戒レベルの目安は以下のとおりです。

  • 湿度70~74%:警戒(軽度の運動は可能だが注意が必要)
  • 湿度75%以上厳重警戒(激しい運動は中止し、休憩を優先)
    こうした基準をもとに、体育の授業や部活動の前後で必ず環境チェックを行いましょう。

安全で快適な体育館利用に向けて

体育館が屋外よりも暑く感じるのは、風の通り道が乏しく熱気がこもりやすい構造と、建材の蓄熱・輻射熱が大きく影響しているためです。
熱中症を防ぐにはWBGTの測定を基本に、水分補給、適切な休憩、換気と扇風機による空気循環、運動強度や服装の工夫が欠かせません。
エアコンを活用できる場合は温度・湿度のバランスに配慮し、外気との差にも注意しましょう。
湿度が高い日には熱中症警戒レベルを確認し、必要に応じて活動時間の短縮や中止を判断してください。
これらの対策をしっかり実践することで、暑い夏の体育館でも安全かつ快適に過ごすことができるようになります。

 

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