置き床とは?構造・メリット・デメリットを徹底解説|乾式二重床の基礎知識

置き床の基本構造とは?

置き床(おきゆか)は、鉄筋コンクリート造の建物において、コンクリートスラブの上に床材を設置するための工法のひとつです。乾式二重床とも呼ばれ、マンションやオフィスビル、商業施設などで広く採用されています。この工法の最大の特徴は、床スラブ(構造床)とフローリングなどの化粧床との間に空間(床下空間)を持つ構造です。

床スラブの上に支持脚(調整可能な束)を立て、その上にパーティクルボードなどの構造用合板を敷き詰めて床の下地をつくり、その上にフローリング材などの仕上げ材を施工します。支持脚には防振ゴムがついており、振動や衝撃を吸収する機能も備えています。

置き床の構造と使われる材料の詳細

スラブと支持脚の役割

コンクリートスラブは建物の構造体そのものであり、その上に設置される支持脚は、高さ調整が可能な部材です。支持脚は主にプラスチックまたは金属製で、床の水平を保ちつつ、上からの荷重をしっかりと支えます。支持脚のピッチ(間隔)は一般的に600mm〜900mmで、構造上必要に応じて密度を高くすることで床の強度を高めます。

パーティクルボードの敷設

支持脚の上には、厚さ20mm程度のパーティクルボードを使用します。このボードは、木材の端材などを圧縮して成型された合板で、床下地材として非常に優れた強度と安定性を持ちます。寸法は1820mm×600mmが一般的で、ジョイント部はずらして敷設されることで、荷重の分散が図られます。

フローリング仕上げ

最上層には、化粧床材(フローリングやクッションフロアなど)が施工されます。接着剤や専用のフィニッシュネイルなどでボードにしっかり固定され、耐久性と見栄えを両立します。壁との接点には、床鳴り防止のためのクリアランス(5〜15mm)を確保し、伸縮性や振動に対応させます。

置き床のメリット

配線や配管の設置が容易

床下に空間があるため、電気配線や給排水管、空調ダクトなどの設備を容易に収納できます。特にオフィスビルや商業施設では、頻繁なレイアウト変更に対応できる柔軟性が評価されています。

防音・遮音性能の向上

床とスラブの間に空間があり、さらに防振ゴム付きの支持脚が振動を吸収するため、階下への衝撃音(重量衝撃音)や歩行音(軽量衝撃音)の伝達を抑えることができます。集合住宅での生活音対策として効果的です。

断熱性の確保

床下に空気層があることで、冷気や熱気の伝導を抑えられます。これにより室内の温熱環境が安定し、冷暖房効率も向上します。

施工が比較的容易

乾式工法であるため、湿式工法(モルタルなど)に比べて施工時間が短縮され、工事期間の短縮にも貢献します。また、現場での施工がスピーディーに行えるのもメリットです。

置き床のデメリット

床上げによる天井高の制限

床に高さを持たせることで、その分室内の天井高が下がります。もともと天井が低い部屋では、圧迫感を感じることもあるため、設計段階での考慮が必要です。

コストが高くなりやすい

直貼り工法と比較すると、材料費・施工費ともに高くなりがちです。支持脚、ボード、化粧床材の三層構造であることが影響します。特に施工面積が広い場合はコストへの影響が大きくなります。

点検性が限定的

床下の設備点検は、点検口を設けない限り容易ではありません。一度完成してしまうと、メンテナンスや修理の際に床を一部剥がす必要が出てきます。

地震時の安全性に注意

地震の際には、床とスラブが分離されていることにより、揺れが増幅される可能性があります。そのため、設計段階で耐震性の検証や対策が重要です。

置き床と二重床の違い

“置き床”と”二重床”はしばしば同義語として使われますが、厳密には異なる概念です。

  • 置き床:支持脚と床材を使って床面を構成する乾式工法。湿気や重量をあまり考慮しない居住空間向け。
  • 二重床:防音性・耐久性・メンテナンス性を重視した構造。空間がより広く、配管や電気設備の自由度が高い。

どちらもコンクリートスラブと化粧床の間に空間を設ける点では共通していますが、使用目的や性能の違いにより分類されます。

まとめ

置き床は、現代の建築において快適性や機能性を向上させるための重要な工法です。遮音性や保温性、配管の自由度など、多くの利点を持ちますが、一方で施工費や天井高への影響といったデメリットも存在します。導入を検討する際は、目的や建物の構造、将来的なメンテナンス性などを含めて、総合的な判断が必要です。

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