フロア設計・設備計画に必須の耐荷重ってどう計算する?基本の考え方

「この部屋にあの重い機械を置いて大丈夫かな…?」と不安になること、ありますよね。
オフィスや工場のレイアウト変更時に「耐荷重ってどうやって計算するの?」と途方に暮れる方も多いはず
計算方法が分からず見切り発車すると、床がたわんだり最悪の場合、構造的に危険な状態を招きかねません。
本記事では「梁で囲まれた床1ユニット」を前提に、誰でも実践できる耐荷重計算方法から注意点、確認すべき資料までを丁寧に解説します。これを読めば、あの重たい什器も安心して設置できますよ!

フロア耐荷重とは?基礎知識の確認

フロア耐荷重は「床1ユニット(梁で囲まれた面積)に載せる総重量÷その面積」で求めます。
設計時にはあらかじめ「設計積載荷重(kN/㎡やkgf/㎡)」が定められており、計算値がこれを超えないかをチェックすることで安全性を担保します。
耐荷重は、下記の要素が絡み合って決まるため、単純な重さだけでなく「荷重の掛かり方」「床構造」「使用環境」を総合的に検討する必要があります。
設計積載荷重:構造計算書や確認申請図面に記載される、安全を見込んだ最大荷重。
実際の計算値:荷物総重量÷梁間面積。設計積載荷重以下であることが必須です。
安全マージン:法律や設計基準では、想定外荷重や経年劣化を考慮し一定の余裕を持たせるよう規定されています。

耐荷重計算の具体的手順

1ユニットの床面積と、設置する荷物の重量を測定して計算します。
事前に正確なデータを揃えることで、計算ミスを防ぎましょう。

ステップ1|床ユニットの面積算出

部屋の図面から梁で囲まれた盤面の長さと幅を測定し、㎡(平方メートル)を計算。
異形の場合は分割して面積を求め、合算します。
補足:梁芯寸法を基準に取ると、実際の荷重支持範囲を正確に把握できます。

ステップ2|荷物総重量の把握

家具・機器・資材のカタログスペックや実測値から重量を取得。
台車移動など動荷重がある場合は、その最大瞬間荷重も考慮に入れます。
補足:機器の内部に入る流体(燃料や水)重量も忘れず合算しましょう。

ステップ3|耐荷重計算と比較

計算式:
耐荷重計算値 (kN/㎡) = 荷物総重量(kN) ÷ 床面積(㎡)
得られた計算値が設計積載荷重以下か確認。
補足:kgf/㎡の場合は、Nへの換算(1kgf ≒ 9.8N)を行いましょう。

計算時に押さえる3つのポイント

ポイント内容説明
荷重の種類面荷重・点荷重・水平荷重など、荷重形態で計算方法が異なる
床の構造床仕上げ・下地重量・ケーブル重量の有無を含めた総重量を計算する
床の用途倉庫・工場など動荷重が大きい場合、法律で定められた強度が必要

荷重の種類を見極める

面荷重:机や棚など、荷重が面全体に分布する場合の計算。
点荷重:柱脚や機械脚など、荷重が一点に集中する場合は「集中荷重試験板」を用いて算出。
水平荷重:地震や機械運転による水平力は、別途耐震・耐振計算が必要です。
補足:水平荷重は「せん断力」として別計算し、面荷重に加算しないよう注意。

床構造を含めた総重量算定

上げ床の場合:二重床構造の自重に加え、ケーブルや配管の重量も計算対象に。
直貼り床の場合:スラブ厚・仕上材重量を含む荷重が床全体にかかります。
補足:施工後に床下点検で重量物を追加する場合は、初期計算に含めることで見落としを防ぎます。

床用途に応じた基準適用

オフィス等の設計荷重:200kgf/㎡(約1960N/㎡)程度が一般的。
倉庫・工場:フォークリフト通行ゾーンは500kgf/㎡以上を推奨。
補足:建築基準法やJIS規格で定められた用途別積載荷重を確認しましょう。

耐荷重検討で見落としがちな留意点

計算値を出しただけでは安心できません。下記の要素も必ず確認しましょう。
現況建物の状態:経年劣化やひび割れ、補強工事履歴など構造的な劣化要素がないか。
設置物の稼働状況:機器の稼働振動や熱膨張など、静的荷重以外の影響を考慮。
荷重形態の変化:季節的な積雪、周辺作業による追加荷重など、変動要因を想定。
これらをクリアにしないと、計算通りに設置してもトラブルを招く可能性があります。

最も確実な確認方法—設計図面と構造計算書の活用

耐荷重に関しては、設計図面(構造計算書)や確認申請書類が最も信頼できる情報源です。
現地での計算値と照合しながら、以下の手順で確認しましょう。

1,構造計算書の確認
計算書に記載された積載荷重と、使用部分の梁スパン・スラブ厚・コンクリート強度をチェック。
2,確認申請図面の確認
用途ごとに定められた積載荷重階を図面上で把握し、実際用途と相違がないかを確認。
3,現場とのすり合わせ
図面上の寸法やメモが現況とズレていないか測量し、計算条件を現地仕様に合わせて再検証。

安全な耐荷重計算で安心設置を

フロア耐荷重計算は「総重量÷面積」だけでなく、荷重形態・床構造・用途を総合的に考慮することが重要です。
計算のポイントを押さえ、設計積載荷重との比較、構造図面の確認、現場実測によるすり合わせを行うことで、安全かつ無理のないレイアウト変更や機器設置が実現できます。
ぜひ本記事を参考に、次回のオフィス移設や倉庫レイアウト変更を安心して進めてください!

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