はじめに
床は毎日踏まれ、荷重を受け、汚れや摩耗にさらされる場所です。
けれど、その重要性は具体的に知らてれていません。
オフィスなら配線が雑然と見えて集中がそがれる、商業施設なら滑りやすさがクレームに直結する、文教施設や体育館なら床鳴りや反発不足が事故につながる。飲食店では清掃しづらさが衛生課題になり、集合住宅では遮音等級が満たせずやり直し…
こうした「あるあるの後悔」は、最初の設計と床材選定、そして適切な工法でほとんど防げます。
私たちは用途に合わせた最適解を、過不足なく、無理なく、長く使える形でご提案しています。
オフィス床工事
オフィスでは生産性とメンテナンス性を同時に満たす床が鍵となります。
視覚的なノイズを減らし、移転や席替えにも柔軟に対応するには、床仕上げとOAフロアをどう組み合わせるかが勝負どころです。
タイルカーペットは部分交換が容易でコスト効率に優れ、飲み物のこぼれやキャスター傷にも強いとベスト。
配線が多い部署やフリーアドレス運用では、調整式OAフロアですっきりと配線を隠し、レイアウト変更のたびに床を剥がさず対応できます。賃貸では接着剤やアンカーに制限があるため、置き敷式のOAが理想!
事前に管理会社へ可否確認を。
短工期での施工計画、養生動線の設計、什器の仮置き計画まで含めた工程管理が、現場を止めない最短ルートです。
公共施設床工事
体育館・学校・ホールは、多目的利用と高頻度使用が前提です。
表面研磨で旧塗膜や傷を整え、下塗りで密着性を高め、中塗り・上塗りで耐摩耗性と適正グリップを確保。
体育館は競技ラインの墨出しと塗装、トップコートで仕上げます。
学期・行事・入試等のピークを避け、長期休暇を活用して行われることが一般的です。
ホールや図書館は騒音・粉塵対策が要で、防塵間仕切りや負圧集塵、静穏工具の採用が周辺クレームを減らします。
大面積では材料手配と乾燥時間の読みが品質を左右するため、サンプル施工でグリップと光沢の“着地”を確認してから全体展開するのが安全です。
文教施設床工事
教室・廊下・特別教室は、転倒リスクの低減と清掃のしやすさが必要。
長尺シートは耐摩耗・耐薬品・防汚に優れ、日常管理の手間を削減。
木製フローリングは温かみと適度な反発で集中環境を支えます。
体育館はクッション性と弾性が求められ、ウレタン塗り床や木床+二重床構造で安全域を確保。
更新周期を見据え、トップコート再塗装で延命できる仕様にしておくと、予算平準化にも貢献します。
床材は耐用年数だけでなく、ワックス不要設計やノンワックス系の選定により、トータルコストが実感値で下がります。
商業施設床工事
商業床は、耐摩耗・清掃性・デザイン・防滑・短工期という多要件の掛け算です。
磁器タイルは高耐久かつ意匠幅が広く、共用部にも好適。木質フローリングは温かみを演出するブティック系に合い、長尺シートは水・油・薬品に強く厨房やバックヤードで真価を発揮。
フロアタイルはコストとデザインのバランスがよく、SPCフロアは寸法安定性・耐水性に優れ改装の強い味方です。
硬化の早い材料や夜間施工、区画分割(ゾーニング)で売場を止めない工程づくりが売上維持の鍵。
開店前引渡しの数時間で什器設置まで終える“分刻み工程”は、商業床の常識です。
店舗床工事
小規模でも“床の選び方”で売上は変わります。
飲食は防滑・耐油・洗浄耐性、アパレルはデザインと歩行感、サロンは薬剤耐性と清掃性、クリニックは衛生性と静音性が最優先。費用相場は1帖あたり1万〜5万円と幅がありますが、下地補修や巾木、見切り、搬出入費を見落とさないこと。
予約が落ちる閑散期や夜間に短期集中で工事する計画性が、スタッフ負担と機会損失を減らします。
相見積もりでは材料グレード・工法・養生範囲・廃材処分・営業時間配慮まで記載の有無を確認し、単価の見た目より「同じ中身か」を比較しましょう。
焼肉店・飲食店床工事
焼肉・中華・揚げ物など油煙量の多い店舗は、清掃性と防滑性がすべて。
セラミックタイルや耐油長尺シート、耐薬品フロアタイルを使い、縦目地・水勾配・スノコの組み合わせで日常洗浄を容易に。厨房は塗り床+防滑骨材でグリップを確保し、ホールは耐汚染性能重視で。
床下配管と排煙ダクト計画を同時進行し、開口補強・防水立上げ・ドレン位置まで床図面に落としておくと、後戻り工事を防げます。坪30〜50万円の内装相場に床が与える影響は大きく、正しい初期投資は回収スピードに直結します。
テナント床工事(C工事)
テナント工事は借主発注のC工事が基本。既存床撤去、下地調整、仕上げ施工までテナント責任で行います。
賃貸人の承認範囲、原状復旧方法、アンカー・接着の可否、遮音等級、機械荷重の制限など、契約面の地雷を最初に除去することが肝要です。
オフィスならタイルカーペット+OA、物販ならフロアタイル、サービスなら長尺シート…
用途と契約条件の交点で最適解を選びます。多重下請けを避け、施工直営の会社に依頼すると、価格の透明性と工程の速さが違います。
原状回復・現状復旧床工事(OA・タイルカーペットなど)
退去時の床は、入居時の状態への回復が原則。
通常損耗・経年劣化はオーナー負担、過失・故意による損傷は借主負担です。
タイルカーペットは汚れ部分のみ交換が基本戦略。
OAフロアは高さ・不陸・面材の復旧範囲を合意書に明記し、写真とチェックリストで証跡を残します。
ガイドラインを踏まえた交渉と、適正工事範囲の見極めで、過剰請求と剥離作業の無駄をなくします。
短工期での夜間一斉施工や養生動線の最適化で、入替の時間的コストも圧縮可能です。
教室床工事
教室更新は夏休みなど長期休暇の集中施工が基本。
直貼り工法は工期短縮に有利、置床工法は配線・水平・遮音に有利です。
木製フローリングの張り替えは1㎡3万〜5万円が目安ですが、乾燥時間・湿度管理・室温の安定が仕上がりに直結します。
長尺シートやウレタン塗り床なら清掃性と耐薬品性が確保でき、理科室・家庭科室の薬剤や水にも対応。
教室間のレベル差や見切り形状を丁寧に設計すると、つまずき事故が減り、バリアフリー性も高まります。
コンビニ床工事
コンビニは床下配管・配線が多く、置床(乾式二重床)で空間を確保しつつ、段差をなくしてバリアフリー化するのが定石。最新店では耐久・デザインに優れるセラミックタイルが主流で、カゴ・台車・冷機の点荷重にも耐えます。
夜間帯の短時間施工で什器を動かし、動線養生と仮設通路で営業を継続。
冷凍・冷蔵の凝結水対策、漏水時の最短復旧導線も床計画に組み込みます。
追加でアスベストや躯体補修が絡む場合は別途計画と費用見積りを早期に提示し、意思決定を加速します。
特別養護老人ホーム床工事
高齢者施設は、防滑・クッション性・車いす走行性・清掃性を同時に満たす必要があります。
ビニル床シートはノンスリップ・耐薬品・耐動荷重に優れ、廊下・食堂・機能訓練室に好適。居室はコルクや木質系で温かみを出しつつ、継ぎ目の少ない納まりで清掃負荷を軽減。浴室は防滑タイルや専用シートでヒートショック・転倒対策を徹底。補助金や介護保険のバリアフリー改修は事前申請が必須で、仕様書・図面・見積の整合性が採択率を左右します。
医療施設 床工事
クリニックや病院は、清掃性・耐薬品性・耐動荷重・静電気対策が必須。
ビニル床タイル・シート、ノンワックス高機能CF、導電・制電床など、用途別のグレードを使い分けます。
手術・処置・検査エリアは溶接納まりで継ぎ目の隙間をなくし、汚染ゾーンの洗浄に耐える仕様へ。
待合やリハ室は歩行感と意匠を両立させ、衛生管理計画(清掃・薬液)とセットで床を選ぶのが正解。
建築基準法・消防法・内装制限への適合確認と、医療機器搬入ルートの養生計画まで見える化します。
アパート床工事
賃貸の床は、原状回復と次の入居の決まりやすさがKPIです。
小補修は1㎡以下で数万円、全張替は1畳あたり数万円のレンジですが、同じ“張り替え”でも材料と工法で入居スピードが変わります。
防音直貼りフローリングやLL等級に準拠した材料を選ぶとクレーム減少に直結。
DIYでの大規模改修は原則不可、退去時の査定トラブルを避けるため、入居時写真と契約条文の確認を。
共用部の騒音対策として、工事時間帯・搬出入動線・エレベーター養生も徹底します。
マンション・集合住宅床工事
集合住宅は直床か二重床かで選べる工法が変わります。直床は張り替えが基本、二重床は重ね張りも選択可能。
管理規約にある遮音等級(L値等)を満たす製品でなければ承認が下りません。
6畳の張り替えは9〜18万円、重ね張りは6〜14万円の目安でも、下地補修・家具移動・廃材処分・見切り材で差が出ます。段差やドアクリアランスに注意し、薄型リフォーム材で“段差ゼロ”を実現。
近隣周知・工事時間の厳守・粉塵・臭気対策はトラブルゼロの近道です。
戸建て住宅床工事
戸建ては根太工法・捨て貼り工法が主流。張り替えは下地から健全化でき、重ね張りは短工期・低コストが魅力です。
断熱材の同時施工で冬の底冷えが改善し、光熱費にも効きます。
リビングは挽き板や突き板の複合フローリングで安定と質感を、キッチン・洗面は耐水長尺シートやフロアタイルで清掃性を、寝室は防音性や温かさを重視。
6畳で9〜18万円、20畳で20〜40万円のレンジですが、床下点検口や巾木交換を含めた“全部入り見積”にすると比較がしやすくなります。
体育館床工事
体育館は下地改修(鋼製・二重床)で弾性と水平を整え、全面研磨で素地出し、下塗り・研磨・中塗り・研磨・上塗りの多層構成で耐摩耗とグリップを調整。最新ルールに基づいた競技ラインを描き、トップコートで耐久と光沢を最適化します。
弾性下地(ゴムパッド等)で膝・足首への負担を軽減し、床鳴りや不陸を根治。
大規模では3〜6か月の全体計画が一般的で、行事と養生期間を逆算して“止めない進行”を組みます。
体育館床メンテナンス
体育館の床はワックス禁止・水拭き厳禁が基本。帯電防止剤を軽く噴霧した専用モップで乾拭きし、松脂・タイヤ痕は溶剤系クリーナーで部分除去。
チューインガムは物理除去+溶剤仕上げ、粉体汚れは固く絞ったモップで。
数年ごとにウレタン再塗装を行えば、ノンスリップ性能と光沢が回復し、摩耗を大幅に抑制。
道具の清潔管理と清掃導線の整備で、日常の手間は驚くほど減ります。
剣道場床工事
剣道場は素足の競技。
杉の赤身材を中心とした木製フローリングに、ゴム・ウレタンクッションを下地で組み合わせ、二重床の弾性で膝・踵への負担を軽減します。
墨出しで基準を正確にとり、支持脚のレベル出し、下張り合板の緊結、板の隙間管理、サンディングと仕上げ塗装で、滑りすぎず擦り足しやすい摩擦係数に調整。
ささくれの早期補修、専用オイルでの微調整、定期点検で安全性を長く保ちます。
武道場床工事
空手・柔道・合気道・居合など、求められる床の固さは競技で異なります。
木製フローリング、長尺シート、塗り床を適材適所に。
受け身の多い競技はクッション性を増やし、素足の滑走が多い競技は表面摩擦を最適化。
顧問・指導者・選手の感覚値を現場で反映し、試験施工で“これだ”という歩行感を共有してから本施工に入ると、仕上がりの満足度が段違いです。
弓道場床工事
弓道は音の少ない競技だからこそ、微小な足音や反響が気になります。
硬すぎず柔らかすぎない無垢材や寸法安定性の高い複合フローリングを選び、下地に防振材を仕込み、踏み込み時の微振動を吸収。表面は滑りすぎない仕上げで、所作の美しさを損なわないバランスへ。
長期利用による摩耗に備え、再研磨・再塗装で蘇る仕様を事前に設計しておくと、運営を止めずに美観と機能の両立が可能です。
ダンススタジオ床工事
ダンサーの身体を守る第一条件は衝撃吸収。
浮床・スプリングフロアの下地に、バレエはメープルやリノリウム、ストリートは耐久ゴムマット、ジャズは木質+適正トップで。
グリップは強すぎても弱すぎても怪我に直結するため、サンプル施工で回転・スライド・着地の感覚を確認。
下階テナントがある場合は、防振ゴム・浮き構造・隙間のない納まりで音の逃げ道を塞ぎ、苦情の芽を摘みます。
費用は坪10万円〜が目安ですが、“パフォーマンスを底上げする床”への投資は、リピーターと評価で回収できます。
用途別 床材と下地の考え方(比較表)
下の表は、主要施設でよく選ばれる仕上げと下地の考え方を、ぱっと比較できるよう整理したものです。
実施設の条件により最適解は変わりますが、初期検討の指針になります。
| 施設・用途 | 主な仕上げ候補 | 下地の考え方 | 重視ポイント |
|---|---|---|---|
| オフィス | タイルカーペット、フロアタイル | 置敷OA・支柱OA | 配線管理、部分交換、短工期 |
| 公共・体育館 | 木床+多層塗装、ウレタン塗り床 | 鋼製・二重床+弾性 | グリップ、耐摩耗、スケジュール |
| 文教・教室 | 長尺シート、木床 | 直貼り・置床 | 防汚、静音、メンテ容易 |
| 商業施設 | 磁器タイル、SPC、フロアタイル | 直貼り・モルタル下地 | 耐摩耗、防滑、短工期 |
| 飲食店 | 防滑タイル、長尺、防油塗り床 | 水勾配・防水立上げ | 清掃性、防滑、耐油 |
| 医療・介護 | 高機能ビニル、制電床 | 平滑・溶接仕上げ | 衛生、耐薬品、台車荷重 |
| 住宅(戸建) | 複合FL、CF、フロアタイル | 根太・捨て貼り | 断熱、段差解消、居住性 |
| 集合住宅 | 防音フローリング、CF | 直床・二重床 | 遮音等級、規約適合 |
| 武道・剣道 | 杉系木床+オイル | 弾性二重床 | 素足感、衝撃吸収、滑走性 |
| ダンス | メープル、リノリウム、ゴム | スプリング・浮床 | 衝撃吸収、グリップ、防振 |
見積り・工期で後悔しないために
同じ面積・同じ材料名でも、見積の中身で総額は大きく変わります。最低限、床材グレード(厚み・表層)、下地補修範囲、巾木・見切り・見切金物、搬出入・廃材処分、夜間・騒音・粉塵対策費、什器移動、試験施工、保証条件を横並びで比較してください。
工期は材料の硬化・乾燥・養生時間を含めて逆算し、引渡し前のクリーニングと検査の時間を“必ず”確保。
私たちは初回ご相談時点で、用途に応じたモックアップ施工や摩擦係数の測定もご提案し、仕上がりのイメージとリスクをゼロに近づけます。
私たちが選ばれる理由
床工事は貼って終わりではありません。
日常清掃の方法、再塗装・再ワックス(ワックス不要仕様の有無)、部分補修のやり方、交換時期の目安まで、運用設計があって初めて価値が続きます。
私たちは用途別の「使い方マニュアル」を引渡し時にお渡しし、半年・一年点検を標準化。
もし不具合が出た場合も、原因を現場・材料・運用の三方向から特定し、次の一手まで責任を持って提示します。
床は、施設の理念やブランド、学びやスポーツや商いを支える“地盤”。
だからこそ、最初の一歩からご一緒させてください。
おわりに
安全で、長持ちし、清掃しやすく、見た目に説得力がある床は、クレームを減らし、現場の生産性を上げ、利用者に選ばれる理由になります。
施設の数だけ正解があるからこそ、汎用の答えよりも、あなたの現場のための答えを。
用途のヒアリングから現場調査、複数案の提示、モックアップ、工程・夜間計画、引渡し後のメンテ設計まで、ワンストップで設計施工いたします。
まずは「今困っていること」をそのままお聞かせください。
足元から、施設の未来を変えましょう。

























