建築やリフォームの際に重要な「床」の種類。
中でも「置床(おきゆか)」は、近年さまざまな場面で採用されています。しかし、似たような言葉として「乾式二重床」「浮き床」「OAフロア」などがあり、違いが分かりにくいことも。
ざっくりと言うと、置床と乾式二重床と浮床は同じ施工を意味しますが、職人さんや使う監督さんなどでちょっとした解釈が違うようです。
実際に、OAフロアのことを浮き床と表現する方もいました。
本記事では、それぞれの特徴や違いをわかりやすく解説します。
置床とは?
置床とは、コンクリートスラブなどの床下地の上に支持脚(束)を設置し、その上に合板やパネルを敷くことで床を形成する施工方法です。
コンクリートに直接仕上げ材を貼るのではなく、床を二重にすることで遮音性・断熱性・メンテナンス性の向上が期待できます。
置床のメリット
- 遮音性能を高められる(生活音や衝撃音を軽減)
- 配線・配管のスペースを確保しやすい
- 断熱性や防振性能を向上できる
- 下地の凹凸を調整し、水平な床を作れる
置床のデメリット
- 施工コストがかかる(コンクリート直仕上げより高め)
- 天井高さが低くなる可能性がある(床が上がるため)
乾式二重床とは?
乾式二重床とは、置床と同様に使われていますが、支持脚(束)とパネルのみで床を構成する床工法です。
こちらはパーティクルボードと支持脚を使った工法全般を指すのに比べ、置床はさらに幅広く使われています。
イメージすると、フローリングを階層で分けると、無垢フローリングや複合フローリング、シートフローリングとなるような意味合いです。
特徴
- 「乾式」とあるように、水を使わずに施工できるため、工期が短縮できる
- 遮音性能や衝撃吸収性に優れるものが多く、マンションや住宅の床に採用される
- 床下に配線や配管スペースを確保しやすい
置床との違い
- 置床は幅広い工法を含む総称であり、その中でルを使わないものを「乾式二重床」と呼ぶ
- 乾式二重床は特に遮音性能が高く、マンションなどの住宅向き
浮き床とは?
こちらも、乾式二重床と同様に使う人が多いですが、OAも含めて浮き床と呼んでいる方もいます。
床スラブの上にロックウールやポリスチレンフォームなどの緩衝材を敷き詰め、その上にモルタルやパーティクルボードなどを配置し、最終的に仕上げ材で仕上げます。
また、防音・防振性能の高い防振支持脚を使った仕様の事も浮き床工法と呼ぶことがあります。
特徴
- 防振ゴムや特殊パッドを使用し、振動・音の伝達を大幅に軽減できる
- 映画館、音楽スタジオ、劇場などの防音施設に採用されることが多い
- 通常の置床よりも遮音・防振性能が高いが、その分コストも高くなる
置床との違い
- 置床は一般的な住宅やオフィス向けだが、浮き床は防音・防振が必要な特別な環境向け
- 浮き床は建物本体と完全に分離するため、振動の伝達を最小限に抑えられる
OAフロアとは?
OAフロア(オフィス・オートメーションフロア)とは、オフィスや商業施設向けに開発された床工法で、床下に通信ケーブルや電源配線を収納できるように設計された二重床です。
特徴
- 主にオフィス・データセンター・商業施設向けに使用される
- 配線やケーブルを床下に収納でき、すっきりとした空間を確保できる
- 配線の変更がしやすく、レイアウト変更に柔軟に対応できる
置床との違い
- 置床は住宅向けの床工法だが、OAフロアはオフィス向け
- OAフロアは配線収納を主目的としているため、遮音性や防振性は重視されていない
- 一般的な置床よりも高さが確保しやすい(5cm~15cm程度の調整が可能)
置床・乾式二重床・浮き床・OAフロアの違い
工法 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
置床 | 床下に支持脚を設置し、合板やパネルで仕上げる | 住宅、マンション、オフィス |
乾式二重床 | 床下に支持脚を設置し、パーティクルボードなどで仕上げる | マンション、住宅、オフィス |
浮き床 | 振動を抑える防振材を使用し、建物と分離した構造 | 音楽スタジオ、映画館、防音室 |
OAフロア | 床下に配線収納スペースを確保した二重床 | オフィス、商業施設、データセンター |
どの床を選ぶべきか?
- マンションや住宅の防音対策をしたい → 乾式二重床
- 防音室や映画館などの特別な防振性能が必要 → 浮き床
- オフィスで配線を整理したい → OAフロア
- 住宅やオフィスの床をバランスよく仕上げたい → 置床
最適な床選びをしよう!
それぞれの床工法にはメリット・デメリットがあり、用途によって適したものが異なります。住宅やオフィスのリフォーム・新築工事を検討する際は、目的に合った床工法を選ぶことが重要です。
具体的な施工や見積もりについて知りたい方は、気軽にご相談ください。