床職人奮闘記!窓際のフローリングの日焼けはなぜ起こる?色褪せ補修事例

   

電話越しに「あの…窓際の床だけ色が変わっちゃってって…」と切なげな声。
これって、窓際の床あるある。
窓際がまるで日焼けして色褪せたり茶色になってしまうやつだ。
しかも今回はまだら模様に加えて、触るとザラザラ…これ、紫外線と日々の熱攻撃の合わせ技だなと直感。
お客様の話を聞きながら、頭の中には見慣れた光景が広がる。
窓から差し込む強い光、その先に広がる色あせたフローリング…そこだけ時が早送りされたように老けてしまっている。

再発も防ぐためにガラスにも対策を

最近のフローリングは確かに昔より日焼けに強い。
でもね、何十年も経てばやっぱり変色する。
紫外線は時間さえあればどんな素材でもじわじわ劣化させるスナイパーのような存在だ。
しかもこれは床だけの問題じゃない。
窓ガラスの紫外線カット性能が低ければ、どんな高性能床材でも早く劣化してしまう。
本当はガラスも紫外線フィルムなどで守るのがベスト。
張り替えただけで終わりにして、また同じ場所で日焼け再発…そんな未来は職人として避けたいところだ。

無垢材や複合材、プリント材で違う

床材には性格がある。
無垢材は豪快な武士タイプ、傷や日焼けも削ってしまえば、再び真っさらな姿を見せてくれる。
複合材は器用な現代人タイプ、表面の化粧板を削って補修できる。さらに伸縮に強い!つまり寸法安定性に優れている!
でもプリントフローリングは…うーん、これはシャツの柄プリントみたいなもの。
一度削ったら柄ごと消えてしまうので再生不可。
そんな時は張替えか上張りでの勝負になる。
素材ごとの“直し方の個性”を見極めるのも職人の腕の見せ所だ。

まずは、写真をお送りしてほしい

「まずは写真を送ってください!」これが第一ステップ。
床の症状を見れば、補修の方向性は8割決まる。
色の抜け方、木目の生き残り具合、周辺との境界線のはっきり具合…こういうのは写真でじっくり見て判断する。
もちろん、光の当たり方や撮影角度で印象が変わるから、何枚か送ってもらうのが理想だ。
メールで写真が届く間、私は机の横に置いた道具箱をチラ見しながら、「今回は削りか?張替えか?」と現場を頭の中で妄想する。

ただ注意点がある

今回は部分的張替えでいくことに決定。
だがここで注意点がある。
同じ商品名でも製造ロットが違えば、色味が微妙に異なるのだ。
新品の板と、十数年使った板の差はまるで新しい靴と履き込んだ靴くらい違う。
それに、もしその床材が廃盤になっていたら、似た色での対応になる。
だから施工前には方向性をガッチリ決める。
補修後に「なんか浮いて見える…」を防ぐための準備は、この段階でほぼ決まるのだ。

サッシを曲げてしまう恐れも

さて、作業開始。
張替え部分の床板をバールとノコで慎重に剥がす。
特に窓際の板はサッシにのみ込んでいることが多い。
ここで無理に引っ張れば、サッシが「ベキッ」と曲がる…そうなれば補修どころかサッシも補修コースのお供に。
だから道具を握る手にも自然と慎重さが宿る。
まるで医者にでもなったかのように、メスさばきのように、少しずつ、少しずつ外していく。

剥し終わったら、新しいフローリングを張っていく

古い板をすべて剥がし終えたら、いよいよ新しいフローリングの登場だ。
寸法を合わせ、サッと仮置きしてみる。
隙間の有無を確認しながら、木槌でトントンと打ち込んでいくと、板同士が噛み合っていく。
新品の木の香りがふわっと広がり、作業場の空気まで明るくなったようだ。
こうして少しずつ、新しい景色が床の上に広がっていく。

これで終了だ

最後の板を打ち込み、全体を確認。
継ぎ目の隙間も浮きもなく、見事に収まった瞬間、肩の力がふっと抜ける。
工具を片付けながら、頭の中でビフォーアフターの映像を並べては「うん、これは気持ちいい仕上がりだ」と自己満足モードに突入。

分からなくなって、キレイに仕上がりました。

お客様を呼び入れて完成を披露。
「え?分からなくなるもんですね」という反応が返ってくる。
この一言こそ職人への最高のご褒美だ。
日焼けでくすんでいた窓際が、今は部屋全体に溶け込む自然な表情をしている。
お客様の笑顔を背中に受けながら現場を後にし、次の床との出会いに胸を高鳴らせる私だった。

 

 

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