【重量物に注意】OAフロアの耐荷重をどう考える?設計で見るべき3つのポイント

オフィスやコントロールルームで「OAフロアを敷きたい」と思っても、耐荷重の見当がつかずに悩みますよね。
「㎡当たり何ニュートンって言われてもピンと来ない…」「重いサーバーを置いたら沈まないか不安…」といった声も多いはず。
後から「耐荷重不足でフロアが歪んだ」「振動で機器にトラブルが出た」とならないために、本稿ではOAフロア(フリーアクセスフロア)の耐荷重の基本から設計時の注意点、選定ポイントまでを詳しく解説します。
この記事を読めば、安心して最適なOAフロアを選べるようになります!

OAフロア耐荷重の基礎知識

OAフロアの耐荷重は1㎡あたりのニュートン(N ※単位・値)で表され、設置する家具や機器の重量によって求められる値が変わります。
一般的に、OAフロアは支持脚・パネル・仕上げ材の3層構造で成り立っており、それぞれの材質と工法が耐荷重性能を左右します。
まずは「なぜニュートンで表すのか」「何を基準に耐荷重を選ぶのか」といった基礎を理解しましょう。
✅ニュートン(N)とは?
物体に加わる力の単位で、1Nは約0.102kgf(力)に相当します。
✅㎡あたり表示の理由
面積単位で表すことで、局所的な荷重集中だけでなく、広範囲にわたる総合的な耐荷重を評価できます。
✅支持脚・パネルの役割
支持脚はフロア全体の荷重をスラブに伝達し、パネルは局所的な荷重を分散させるクッションの役割を果たします。

耐荷重の基準値と設置事例

OAフロアの耐荷重は主に3,000N/㎡・5,000N/㎡の2段階で設定されるケースが多く、それぞれに適した用途があります。
下表でそれぞれの数値とおすすめ設置機器をまとめました。

耐荷重推奨用途具体例
3,000N/㎡一般オフィス家具・複合機OAデスク、ワゴンキャビネット、複合機
5,000N/㎡高荷重機器・制御盤・ラック設置サーバーラック、制御機械、UPS装置

3,000N/㎡の事例

OAデスクやキャビネット、複合機など、一般的なオフィス機器を設置する場合に最適です。
安全マージンを取っても1㎡あたり約300kgfまで対応できるため、通常のワークステーション用途には十分な性能を発揮します。

5,000N/㎡の事例

サーバーラックや高精度制御盤など、重量機器を集中設置する場合に必要となります。
ラックあたり数百kg~1tを超える重量にも耐える設計となっており、データセンターや制御室で多用されます。

耐荷重設計の注意点

ただ数値をクリアすれば良いわけではありません。
衝撃や振動による荷重増幅や、材質・工法の違いによるパネルの許容積載荷重など、設計段階で配慮すべきポイントがあります。

衝撃・振動による荷重増幅への配慮

OAフロアに静的荷重だけでなく、人の歩行や機器の衝撃動作などが加わった場合、鉛直方向に瞬間的な荷重増幅が生じます。

強い衝撃:機器の動作開始・停止時や落下物による荷重ピーク
振動:サーバーのファン、機械運転時の連続振動
これらを考慮し、設計荷重に対して一定の安全マージン(1.3~1.5倍程度)を設けることが重要です。

材質・工法による許容積載荷重の違い

OAフロアのパネル材質(高密度パーティクルボード、アルミ複合パネル、樹脂強化パネルなど)や工法(支持脚のピッチ、パネル連結方法)によって、同じ耐荷重スペックでも実際の性能が異なる場合があります。
◆パネル厚やコア材の密度
◆支持脚間隔と金物強度
◆連結金具や接合方法
これらを仕様書で確認し、スペックシートと現地条件が合致するか必ずチェックしましょう。

OAフロア選定時のポイント

OAフロアを選ぶ際は、耐荷重だけでなく「使用用途」「配線量」「天井高」「将来のレイアウト変更」など複数の視点で総合的に判断する必要があります。

使用用途と機器重量の把握

まずは設置予定の家具・機器の重量をリストアップし、㎡あたりの平均荷重とピーク荷重を計算します。
精密な測定は、カタログスペックだけでなく実機を計量器で測ることが望ましいです。

配線量やケーブル高さの確認

配線が多い場合、床下空間の利用率が上がるため、パネル厚や支持脚の有効高さを確認し、十分なスペースを確保します。
また、将来的に追加配線が出る可能性がある場合は余裕を持った高さ設定が必要です。

天井高とのバランス

OAフロアを敷くことで室内高さが数センチ~数十センチ減少します。
天井高とのクリアランスを確認し、照明やエアコン吹き出し口への影響がないかチェックしましょう。

将来のレイアウト変更に備える

移設や増設を見越し、耐荷重に余裕を持たせた設計を行うことで、変更時の再施工を最小限に抑えられます。
設計段階で「ラック追加」「会議室変更」など、今後の運用プランを共有しておくと安心です。

他構造床との比較表

OAフロアと他の床工法(直貼りコンクリート、根太工法)を比較し、特徴を見える化しました。

工法耐荷重調整メンテナンス性工期廃材量
OAフロア(フリーアクセス)柔軟高(点検口で簡易対応)短期少ない
直貼りコンクリート×低(配管交換は大工事)中期多い
根太工法(合板張り)中(床下は狭く点検しにくい)中期

最適な耐荷重で安心設計を

OAフロアの耐荷重は、設置機器の重量・振動・将来変更など多角的に検討する必要があります。
3,000N/㎡・5,000N/㎡の基準値を参考にしつつ、衝撃増幅への安全マージン、材質・工法差の確認、配線量や天井高とのバランスを踏まえて最適なスペックを選びましょう。
適切な設計を行えば、快適かつメンテナンス性に優れたOAフロア空間を実現できます。
ぜひ本記事を参考に、次回のフロア計画にお役立てください!

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