置き床パーチ施工とは?
置き床パーチ施工とは、鉄筋コンクリート造の建物において、コンクリートスラブ(構造床)の上に支持脚を立ててパーティクルボード(パーチ)を敷き、その上に仕上げ材となるフローリングなどを施工する工法です。乾式二重床とも呼ばれ、マンションの防音対策や設備配線のしやすさから、住宅や商業施設で広く採用されています。
この工法では、構造躯体に直接床材を固定しないため、振動を吸収しやすく、遮音性やメンテナンス性に優れているのが特徴です。
パーチ施工に使われる材料とサイズ
パーティクルボード(パーチ)とは?
パーチとは、木材の端材やチップを圧縮・成型して作られた板材で、強度と均一性に優れ、床下地材として理想的です。施工現場では安定性とコストのバランスから広く使用されています。
標準的なサイズ
- 厚み:20mm
- 横幅(短辺):600mm
- 長さ(長辺):1820mm
このサイズが一般的に採用され、作業効率と材料ロスのバランスが最も良いとされています。
パーチの施工手順
ステップ1:支持脚の設置
既存のコンクリートスラブの上に支持脚を一定間隔で配置します。支持脚は高さ調整が可能で、床の水平を取るために非常に重要です。ピッチ(間隔)は一般的に短辺300mm、長辺455mmが目安とされています。
ステップ2:パーチの敷設
支持脚の上にパーティクルボードを並べていきます。この際、ボードのジョイント(継ぎ目)が一列に揃わないよう、千鳥状に配置することで強度を確保します。
ステップ3:壁際に5~15mmの隙間を確保
壁際に完全に密着させると、温度や湿度による膨張・収縮時に床鳴りや突き上げが発生するリスクがあります。必ず5〜15mm程度の隙間を設けてください。
ステップ4:接着剤の塗布
パーチに専用接着剤「スラブロック」などを塗布し、化粧床材(フローリングなど)を貼り付けます。接着剤は均等に広げ、床材の浮きを防止するために加重をかけながら貼るのがポイントです。
隙間を設ける理由と重要性
1. 材料の伸縮に対応する
木質系の床材は湿度の変化により伸縮します。施工時に壁際の隙間がないと、膨張時に床が突き上がり、浮きやきしみが発生する原因になります。
2. 防音・振動緩和への影響
隙間があることで、フローリングが壁や構造体と直接接触しないため、音や振動の伝達を抑え、防音性能を維持できます。
3. 施工後の調整・補修のしやすさ
メンテナンスの際にも隙間があることで、床材の取り外しや修理がしやすくなるというメリットがあります。
パーチ施工のメリットと活用事例
- 防音性能の向上:支持脚や床材が振動を吸収し、上下階への騒音を抑制します。
- 配管・配線が容易:床下空間を利用することで、リフォームや設備更新時の自由度が高まります。
- 工期が短縮できる:湿式施工(モルタル仕上げ等)に比べて、乾式は施工期間が短く済みます。
活用事例
- 分譲マンションや賃貸マンション
- 商業施設やオフィスビルのOAフロア
- 医療・福祉施設でのバリアフリー床
注意点とよくあるトラブル
- 壁際の隙間確保を怠ると、床鳴りや突き上げの原因になります。
- 支持脚の高さ調整を不十分なまま施工すると、床が傾くリスクがあります。
- パーチ材に水分が侵入すると、反りや劣化が進みやすくなります。水回りには不向きです。
まとめ:パーチを使った置き床施工は機能性とコストのバランスに優れた床工法
パーチを使った置き床施工は、施工性・機能性・防音性のすべてに優れた床工法です。マンションをはじめ、さまざまな建物で活用されており、正しい知識と施工手順を守ることで、高品質な床仕上げが実現します。
施工のポイントは、「支持脚の配置」「壁際の隙間確保」「接着剤の均等な塗布」の3点です。床のトラブルを未然に防ぐためにも、プロの施工業者に依頼することをおすすめします。