置き床(乾式二重床)を採用している住宅や施設では、構造上の安定性や歩行感、遮音性を高めるために”補強”が必要になることがあります。本記事では、置き床の補強方法やポイントを詳しく解説し、安心して使える床環境を整えるための実践的な知識をお届けします。
置き床補強の目的と必要性
なぜ置き床を補強する必要があるのか
置き床の補強は、以下のような課題に対応するために行われます。
◆重量物による沈み込みやたわみの防止
◆歩行時の床鳴りやきしみの抑制
◆防音性や断熱性の向上
◆経年劣化による構造の弱体化対策
特に、ピアノや水槽、大型家具などを置く場合には、設置前に補強を施しておくことでトラブルを未然に防げます。
【方法1】支持脚の追加とピッチの調整
ピッチを狭めることで荷重分散力を高める
置き床構造では、床材を支持脚(束)で支えることが基本です。
標準ピッチは300mm〜455mm程度ですが、重量物が想定されるエリアでは、支持脚のピッチを狭めることで荷重の分散力が向上し、沈みや割れを防ぎます。
◆配管や配線が干渉する場合は、パーチ(パーティクルボード)を加工して支持脚の位置を調整可能
◆床先行で施工する際は、軽間壁の位置に合わせて先行的に支持脚を設置することで、後からの補強が不要になるケースも
この方法は、荷重を受けやすいキッチン、洗面所、重量家具のある部屋などに最適です。
【方法2】支持脚の接着固定による強度アップ
支持脚の接着剤注入で床の安定性を高める
支持脚の頭部に専用の接着剤を注入し、床スラブと支持脚を固定することで、床全体のブレを抑え、耐震性や揺れの軽減に役立ちます。
施工のポイント
◆注入前に隙間部分をガムテープで養生し、接着剤の漏れを防ぐ
◆余分な接着剤は乾く前に拭き取る
◆固定後は24時間ほど乾燥・硬化時間を確保
この補強方法は、防音性能の向上や長期的な安定性の確保に効果的です。
【方法3】合板や防音シートによる補強
床表面からの簡易補強に最適
既存の床がたわんでいたり、きしみ音が気になる場合には、上から合板を重ね張りする方法があります。
◆12mm〜24mmの構造用合板を使用し、床全体の剛性を向上
◆その上に防音シートを敷設することで、生活音や振動を抑制
この方法は、床材を張り替えずに済むため、コストを抑えた補強が可能です。
補強が必要なサインと判断ポイント
次のような症状がある場合は、早めに専門業者に相談し、補強を検討しましょう。
◆床が沈む、傾いている
◆きしみ音、床鳴りが頻繁に発生する
◆重量物の設置予定がある
◆築年数が20年以上経過している
まとめ:安全で快適な床環境を守るために
置き床の補強は、住宅の快適性や安全性を守るうえでとても重要です。
適切な場所に支持脚を追加したり、接着剤でしっかり固定するだけで、床の寿命や性能は格段に向上します。
また、合板や防音シートを併用することで、さらに安心な住まいづくりが可能です。
工事の規模や方法に迷ったら、複数の業者に見積もりを取り、専門的なアドバイスをもらうことをおすすめします。