マンションの遮音等級の調べ方ガイド|図面・評価書・現地チェックで確認するポイントとは?

   

マンションを選ぶ際、間取りや駅からの距離も大切ですが、「遮音性能」も見逃せない要素です。隣室や上下階の生活音が気になるかどうかは、住んでからの快適性を大きく左右します。本記事では、マンションの遮音等級を確認する方法をわかりやすく解説します。

遮音等級とは?まずは基礎知識を理解しよう

遮音等級とは、壁や床を通じて伝わる音をどれだけ防げるかを数値化したものです。主に次のような種類があります:

  • LL値(軽量床衝撃音):スプーンの落下やイスの移動など、軽い音の遮音性能
  • LH値(重量床衝撃音):足音やジャンプ音など、重く響く音の遮音性能
  • D値(空気音遮音性能):話し声やテレビ音など、空気を介して伝わる音の遮音性能

数値が小さいほど遮音性能が高く、例えば「LL-40」「D-65」といった数値が使われます。遮音等級は建材の仕様や施工方法に左右されるため、住まいの構造から調べることが重要です。

建物の構造から遮音性能を読み取る|まずは基本情報を確認

遮音性能は、建物の構造によって大きく異なります。まずは住んでいる、もしくは検討中のマンションの構造を確認しましょう。

賃貸物件や分譲物件の基本情報を確認する方法

  • 賃貸サイトや不動産チラシの物件情報:構造欄に「RC(鉄筋コンクリート造)」「SRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)」「木造」などが記載されている
  • 賃貸契約書や重要事項説明書:壁の厚みやスラブ厚(床のコンクリートの厚み)に関する情報がある場合も

→ RC造は一般的に遮音性が高く、木造や軽量鉄骨は遮音性がやや劣る傾向があります。

竣工図面で遮音構造をチェックする|購入前の確認に有効

分譲マンションを購入予定の場合は、「竣工図(建物の設計図面)」の確認が重要です。図面には、床や壁の構造・厚さ、防音材の有無などが記載されているため、遮音性能を把握する手がかりになります。

竣工図の入手方法と見方

  • 売主または仲介会社に依頼して閲覧・コピーをもらう
  • 床スラブの厚さが200mm以上なら重量衝撃音に強いとされる
  • 壁にグラスウールなどの吸音材が挟まれていれば、隣戸との遮音性が高い可能性がある

→ 壁と床の構造を見れば、生活音の響きやすさをある程度予測できます。

住宅性能評価書を確認する|公的な数値で遮音等級を把握

「住宅性能表示制度」に基づき、マンションには住宅性能評価書が交付されることがあります。ここには、音に関する遮音等級が明記されていることもあり、数値で遮音性能を把握できる有効な資料です。

住宅性能評価書で確認できる項目

  • 床の衝撃音に対する性能(LL値、LH値)
  • 空気音遮断性能(D値)
  • 断熱性能や耐震性能と併せて総合的な性能を確認可能

→ 評価書がある場合は、信頼できる情報源として重視すべきポイントです。

メーカーや施工会社への問い合わせ|詳細な仕様を確認したいときに有効

遮音性能に関する仕様は、建物の設計を行ったハウスメーカーや施工会社が最も詳しく把握しています。特に防音設計にこだわった物件では、専用の資料を用意している場合もあります。

問い合わせ時のポイント

  • 使用されている防音フローリングの遮音等級
  • 二重床か直床かの構造確認
  • 壁材や間仕切りの仕様(石膏ボードの厚さや吸音材の有無)

→ 営業担当者に「LL値はどのくらいですか?」「壁は何重構造ですか?」など、具体的な質問を投げかけましょう。

現地で体感してみる|モデルルーム・実物件の音響をチェック

書類や数値だけでは分からないリアルな遮音性能を知るには、現地で実際に体験してみるのが一番です。

現地で確認できる方法

  • モデルルームで床を歩いたりイスを引いたりしてみる
  • 実際の住戸で手を叩いて音の響きを確認する(音が反響するかどうか)
  • 隣室や階下に知人がいれば、音の聞こえ方を尋ねる

→ 特に夜間の静かな時間帯に訪れると、音の響きやすさを体感しやすいです。

小技:手を叩いて部屋の響き方を確認する方法

プロではなくてもできる簡単なチェック方法として、部屋の中央で手を叩き、その音の響き方でおおよその遮音性を推測する方法があります。

  • 音が“カンカン”と反響する → 硬くて密閉性が高い、遮音性が高い可能性
  • 音が“ボワン”と響く → 吸音性が低い、音が反響しやすい構造の可能性

→ 完璧な方法ではありませんが、第一印象として参考になります。

まとめ:遮音等級は複数の情報源を組み合わせて確認しよう

マンションの遮音等級は、建物の構造、図面、住宅性能評価書、現地確認など、さまざまな方法で調べることができます。どれか一つの情報だけで判断するのではなく、複数の視点から確認することが重要です。

快適な暮らしを送るためには、音の問題を事前に把握し、物件選びの判断材料にすることがポイントです。自分や家族の生活スタイルに合わせた遮音性を持つマンションを見極めましょう。

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