体育館に入ってすぐ、小さな欠けや破損に気づいたとき、「ここもそろそろ直さないと危ないよね」と感じるものです。
部活動の最終調整や地域サークルの練習、大会運営など、利用者の多い宇都宮市内の体育館では、床面の劣化は事故リスクや競技環境の質低下を招きかねません。
そこで市では、明保小学校体育館の長寿命化改修、ブレックスアリーナ宇都宮のフロア改修、2014年完了の市体育館耐震・大規模改修など、各施設で段階的な床工事を実施しています。
この記事では、これらの事例を踏まえつつ、床工事の目的・種類・床材選定・施工手順・安全基準・定期メンテナンス・代替利用策・最新情報入手方法までを一挙に解説。
改修計画の全体像をつかみ、市民や学生が安心・快適に利用できる体育環境づくりをサポートします。
なぜ床改修が必要なのか
体育館の床はバスケットやバレーボールの着地衝撃、体操の踏み込み、器具運搬など、多様な負荷にさらされます。
長期間使用されるとウレタン塗膜のすり減りやフローリングの継ぎ目の隙間、ひび割れやささくれ・欠けが生じ、滑りやすさやケガのリスクが高まります。
また下地の防湿シートやクッション層が劣化すると床鳴りや沈み込み、ボールバウンスのムラが発生し、競技パフォーマンスに悪影響を与えます。
これらを放置すると安全性が損なわれるだけでなく、構造的損傷が進行して改修コストが膨張するため、定期的かつ計画的な床改修が不可欠です。
宇都宮市内の主な改修事例
明保小学校体育館長寿命化改修
2021年4月から2022年2月にかけて実施された長寿命化改修では、屋根の全面改修に加え、床面の改修計画が検討されました。
経年劣化したフローリングを対象に、防湿シートの敷き直しやクッション層の更新を併せて行うことで、耐久性を飛躍的に高める計画が進行中です。
ブレックスアリーナ宇都宮フロア改修
市体育館としても利用されるブレックスアリーナ宇都宮では、2025年3月31日をもって一部フロア改修のため貸出を終了。
詳細な改修内容や期間は未定ですが、競技フロアの摩耗部補修やライン再描画、ウレタン再塗装が中心に検討されています。
2014年完了の市体育館耐震・大規模改修
宇都宮市体育館のメインアリーナ棟とサブアリーナ棟は、2014年に耐震補強および大規模改修が完了。
耐震補強工事と合わせて床下地の補強・防湿シート敷設を実施し、その後表面フローリングの全面張り替えを行いました。
現行の床材が設置されてから10年を迎えるため、再塗装や部分補修のタイミングが迫っています。
床工事の主な種類と目的
部分補修工事
ひび割れや剥がれ、凹凸など局所的な損傷をパテ処理や張替え後、研磨・再塗装で仕上げます。
2~4日程度で完了し、休日施工で対応することで、利用制限を最小化できます。
研磨+ウレタン再塗装
フロアードラムサンダーで古い塗膜を研磨し、下塗り→中塗り→上塗りのウレタン塗装で床面全体の耐摩耗性・滑り止め性能を回復。
工期は1週間~2週間で、性能向上を図れます。
全面張り替え+下地補強
既存床材撤去→防湿シート・クッションパッド更新→鋼製束式または組床式下地構築→新規床材(木製フローリング、長尺シート)敷設という一連の工程で、耐用年数20~30年の長期利用を実現。工期は4~8週間程度必要です。
コートライン再描画
既存ラインの除去後、正確に位置決めし、競技に適した準拠の色・幅で新規描画。塗料描画またはテープ貼付で視認性と公平性を確保します。1日~2日で完了します。
床材の種類と選定ポイント
床材は用途やメンテナンス性、コストを踏まえ、以下3種から選定します。
床材種類 | 耐用年数 | 衝撃吸収性 | グリップ性 | メンテナンス頻度 |
---|---|---|---|---|
木製フローリング | 20~30年 | 高 | 高 | 2年~5年1回の研磨・再塗装 |
長尺シート | 10~20年 | 中 | 中 | 清掃中心+15年~張替え |
競技性能重視なら木製、清掃・コスト重視なら長尺シート、統一感と手軽さならウレタン塗り床が適しています。
施工スケジュール例
全面張り替え工事を想定し、利用再開希望日から逆算したスケジュール例を示します。
- 劣化診断・設計仕様決定(1日)
- 既存床材・塗膜撤去(5日~)
- 下地設置・防湿シート敷設(7日~)
- 合板張り替え(2日~)
- 新規床材敷設(7日~)
- 研磨(2日~4日)
- 下塗り・中塗り・上塗り仕上げ(3~5日)
- コートライン描画(2日~)
- 完了検査・性能試験(1日)
合計で約4~6週間を見込み、学校休業期間やシーズンオフ期間を活用するのが望ましいです。
定期メンテナンス計画
木製床:2~5年に1回研磨+再塗装
長尺シート:年次点検+15年~ごと全面張替え
床金具(支柱用):1~2年ごと点検・交換
日常清掃と定期点検で早期劣化兆候を把握し、部分補修で大規模改修までの期間を延長できます。
専門業者選定のポイント
公共施設・学校体育館での豊富な実績
複数床材・仕上げ仕様の提案力
見積もり透明性と工期管理能力
品質保証・アフターサポート体制
地元対応力(緊急対応可否)
茨城県内で多くの施工事例を持つミライ産業株式会社などに現地調査を依頼し、複数プランを比較検討しましょう。
工事期間中の代替利用策
近隣市町村の公共体育館(真岡市、益子町など)
学校体育館夜間・休日開放枠
民間レンタル体育館
代替施設の床材感覚や利用条件を事前に確認し、仮予約を済ませることで練習計画を継続できます。
最新情報の入手方法
宇都宮市公式ウェブサイト「公共施設休館・工事情報」
施設管理課への電話・メール問い合わせ
各体育館管理事務所の掲示・お知らせ
茨城県建設業協同組合・入札情報サイト
改修計画や休館予定は随時更新されるため、定期的にチェックしましょう。
まとめ
宇都宮市体育館の床工事は、安全性・快適性・競技性能を両立させる総合プロジェクトです。
明保小学校体育館の長寿命化、大規模耐震改修、ブレックスアリーナ改修など各事例を参考に、床材選定から下地補強、施工スケジュール、安全基準、定期メンテナンス、代替利用策、情報入手方法までを計画的に実施することで、市民や学生が安心してスポーツに打ち込める環境を長期にわたり維持できます。
リニューアルされた滑りにくく耐久性の高い床面で、より充実したスポーツライフをお楽しみください。