保育園の床は子どもたちが安全に過ごせるよう、特別な配慮が必要です。
現代の保育施設では、快適さと機能性を兼ね備えた置床・乾式二重床システムが広く採用されています。このシステムは、上層のフローリングと下層の基礎との間に空間を設けることで、断熱性や防音性を高める役割を果たします。
特に、断熱材を裏打ちすることで冬場の床冷えを防ぎ、床暖房システムと組み合わせることで一年中快適な環境を提供できます。また、単板無垢材を用いた複合フローリングは耐久性が高く、自然な風合いが保育園の温かみのある雰囲気を演出するのに役立ちます。
施工例を見てみると、これらのシステムや材料がどのように組み合わさっているかがわかります。保育園の床はただ丈夫なだけでなく、子どもたちの健康と安全を第一に考えた構造になっていることが理解できるでしょう。
それではご覧ください!
◆保育園の置床施工・壁先行工法について
今回の工事は、保育園の床工事になります。
壁先行で行っているので、私たちは軽天軽間が仕上がった後に床を組んで仕上げていきます。
この置床(おきゆか)という施工方法は、戸建て住宅ではあまり採用されないのでご存知ない方も多いですが、マンションや公共施設では一般的な床工法です。コンパネやベニヤより厚みのあるパーティクルボードというパネル材をコンクリートに並べて置いていくカタチで施工していきます。
◆置床や二重床や浮床は何が違うのか?
こんなことはないでしょうか?
リフォームの提案を複数の業者から受けていると、ある業者は置床って言っていたり、違う業者は二重床と言っていたり、また、ある業者は浮床と言っていたり、同じような材料を使って同じように施工するのに、何が違うんだろうって?
名前によって特別に違いがあるわけではなく、ただ単に呼び名が違うだけです。メーカーの商品名や略称がいくつかの呼び名になっていったと考えられます。
その他にもフリーフロア、アジャスターフロア、ユニットフロアなどとも呼ばれます。時にOAフロアと混合している方もいるかもしれませんが、こちらは、フリーアクセスフロアです。また人によってですが二重床と表現される方もいます。
それでは、置床の施工事例についてご覧ください。
◆保育園の置床・乾式二重床施工事例
昔は、木床組が多かった保育園は、今では、置床・乾式二重床が主流です。これは公共施設全般でもそうです。それだけこのシステムにメリットがあるといえます。
■置床・乾式二重床施工前
施工前のようすです。
左の写真をご覧いただくと配管などが設置されているのが分かります。
様々な配管がスラブ面に置かれていても、それを高さでかわしてフラットな床を作ることができます。
水道管や排水管、ガスや電気など住まいに必要となる設備は多いですが住む時に邪魔にならないのは、こういった床構造のおかげなんです。
■置床・際根太及びパーティクルボード施工
施工にあたりまずは、際根太を施工していきます。
基本的に壁際は、際根太でボードを受けることになります。左の写真は接着剤を調節ボルトの穴に流し込み動かないようにしています。
その後、際根太とボード、支持脚とボードとをビズで留めていきます。
配管の立ち上げ部分は、塞がず加工をして開けておきます。
パーティクルボードを部屋全体に敷き詰め高さ調整をしました。
コンクリートスラブ面が隠れていますが、その上に支持脚とパーティクルボードで作られた床の完成です。コンクリートと置床で二重の床になりました。下地が水平でなく凹凸があっても調整することでフラットになるのが、この床の魅力でもありますし優れた施工性でもあります。
■水廻り箇所ベニヤ捨て貼り施工
置床が施工された後にさらに強度を出すため、また仕上げ材を張るために捨て貼りを行うことが一般的です。
そのままだと床パネルの間に隙間がある状態だからです。
仕上げ材がたわまないなど仕上げ材自体に強度があれば、その隙間を避けて割り付ければ仕上げ材を施工することができますが、やはりもう一枚重ねた方が長年経った時のトラブルは少なくてすみます。
12ミリのラワンベニヤを捨て貼りし、その後仕上げを貼っていきます。
トイレや手洗い場には塩ビシートを、その他の場所には、フローリングと琉球畳で仕上げていきます。
仕上げの違う場所は、あらかじめ高さの設定を変えておく必要があります。そのため、しっかりと事前打ち合わせを行います。
パーチクルボードの支持脚に接着剤を流し込んでしまうと、その段階で調整が効かなくなります。
そのためレベルを直すためには、全体をやり直す必要があるためです。
トラブルを避けるためも、事前確認はポイントを押さえて行います。
■床工事・施工完了
施工完了です。
I建設さま、置床・乾式二重床のご依頼、ありがとうございました。