有名温泉地のとあるTさま宅床研磨塗装
朝6時、車を走らせながら向かうのは…あの有名温泉地。
看板に「源泉かけ流し」の文字が見えると、もうそれだけで体が温まりそうになる。
そんな風情ある町の一角に、今回の現場Tさま邸はある。
もう外観からして洒落てる。
木と石の絶妙なバランス、これぞ“温泉地の別荘”ってやつだ。
観光気分にひたりたい気持ちをぐっと抑えて、今日のミッションに集中。
床職人の腕が鳴るぜ!この美しい街に似合う床に再生させる、それが今日の俺の志事だ!
削って磨きあげる、それが研磨
今回の工事内容は至ってシンプル
「削って磨きあげる」
実は一番の腕の見せどころ。
今そこにある床と、真正面から向き合って、その美しさを取り戻す。
まさに“素肌磨き”みたいなもん。
木の呼吸を感じながら、どこまで魅力を取り戻ぜるか…職人としての手腕が問われる。
時には仕上がりまで考え..着色なら色の入りまで考え…
どんな手順で施工を行うかを考える!もし色が入らなかったらムラっぽくなる。
肌を整えすぎてもダメ、整え過ぎなくてもダメ!
材料じゃない、道具でもない、“技”と“目”で勝負する現場。燃えてきたぜ!
フローリング研磨の対象は杉の床材
杉板!
その名を聞いただけで、俺の中の“木愛”が騒ぎ出す。
柔らかくてあたたかみがあり、香りも抜群。
だが、反面、傷や汚れには弱くて、年数が経つと表情がくたびれてくる。
でもそこがいい。
長年家族の足音を受け止めてきた証だからな。
今回の任務は、そんな杉の床をリビングから廊下、そして玄関までまるっと再生させる大仕事。
家の“顔”ともいえるエリアすべてを預かるんだ。
もうね、気分は“美装の侍”。今日も静かに刀(研磨機)を研ぎ、床と対峙するのであります。
まずは養生だ
さぁて、まずは養生だ。
これを怠ると、せっかくの室内が粉まみれになるからな。
リビングのソファやストーブ、廊下の壁際、玄関の飾り棚まで、ひとつひとつビニールとマスカーで丁寧に包んでいく。
まるで大事な物を梱包しているかのように、慎重に、確実に。
この時、注意しなければならないのが粘着が強すぎるテープを使うにはテクニックが必要だということ!
例えば、家具に養生すると、剥す時に古くなった表面を持ってきてしまうことがあるんだ…
だから「ちょっと慎重すぎ?」って思われるくらいがちょうどいい。
研磨後に「あれっ」剥したとこだけ”変だぞ”何てならないようにするんだ!
でも、しっかり養生しておけば、作業後に“見とれる”ことができる。
これも職人の美学なのさ!
Tさまのストーブかっこいい!暖炉だ
で、ふと目に入ったのが…Tさま宅の暖炉!
しかも、ただの暖炉じゃない。黒の鋳物で、ガラス扉越しにチラチラと火が見えるタイプ。
季節になると横には薪がオシャレに積まれていて、「冬はこの前で赤ワインでも…」なんて想像が膨らむ。
いいなぁ、羨ましすぎる。
職人魂が高まってるのに、心はちょっとリラックス方向へ引っ張られる。
でもね、こういう“良い空間”に見合う床を仕上げてこそプロ。
暖炉と杉床の相性は抜群。
この床を完璧に蘇らせて、Tさまに「やっぱ頼んでよかった!」と言わせてみせる!
まずは廊下のアフター
さあ、最初の勝負場所は廊下!
入ってすぐに見える通路、まさに“家の第一印象”を決める大事な部分だ。
杉特有の色ムラと、ところどころにできた小傷、日焼けの跡が目立つ。
そこに研磨機をあてて、まずは1回目のサンディング。
音と振動が床に伝わり、表面の古い顔がスルスルと剥がれていく感覚は、まさに快感。
3工程すべて終えたあと、立って見渡すと…もうね、
これ同じ廊下?って思うほどに明るくなってる。
職人泣かせの杉板だけど、この瞬間の達成感は格別だ!
そしてリビングのビフォーアフター
そして、いよいよリビング突入!
ここの杉床は、陽射しが差し込む場所だけに、かなり日焼けしている。
まるで、ボディビルダーのようになってる(笑)。
でも俺にとっては、そこが萌えポイント。
昔、日焼けサロンが一斉を風靡した時代を経験しているから!何か面白いんだよね!
サンディングを重ねるごとに、木目が少しずつ“若返って”いく。あの頃と真逆だもん…
まるで肌にパックして、潤いが戻っていく感じ。
最終仕上げが終わって全体を見ると…おお、これはまさに「若杉美人」!
見た目だけじゃなく、足触りも柔らかく、ほんのり杉の香りが立ちのぼって、最高の空間になった。
これで冬の暖炉タイムも最高だな、Tさま!
Tさまの家族が浮かぶ帰り道
作業を終えて、道具をトラックに積み終えたとき、ふと振り返ると、昼前とはまるで別の空間がそこにあった。
陽射しを反射して輝く杉の床、丁寧に整えられた室内、暖炉の前に置かれたチェア…。
自分で言うのもなんだけど、「うん、いい仕事した!」って胸を張れる仕上がりだ。
この床が、これからのTさまご家族の笑顔を支えるんだと思うと、もう嬉しくてたまらない。
そして帰り道、車の中でつぶやくんだ。
「今日のビールは、うまいぞ!」と。
そしてまた明日、次の床へ。俺たちの奮闘はまだまだ続く! 床職人奮闘記