「二重床にしてみたいけど、どこまで手順を把握すればいいの?」と悩む現場担当者も多いはず。
施工マニュアルには専門用語がズラリ並び、「本当に自分の工事に当てはまるのか分からない…」と頭を抱える方も。
床暖房パネルや空調配管をどうやって隠すのか、レベル調整はどこまで細かく行うのか、結局のところ「何が必須で何が任せていいのか」迷ってしまいますよね。
本記事では、フリーフロアー(二重床)の施工手順を【床パネル連結】【レベル調整】【仕上げ材施工】の3ステップに分け、必ず押さえるべきポイントとともに丁寧に解説します。
フリーフロアー(二重床)とは?特徴とメリット
フリーフロアーは、床スラブの上に支持脚と床パネルを組み立ててつくる「乾式二重床」の一種です。
従来の根太工法に比べ施工スピードが速く、床下空間に設備配管や断熱材を自由に組み込めるため、オフィスビルや集合住宅、商業施設で多く採用されています。
遮音・防振性能:二重床構造が衝撃音や振動を吸収し、上下階の騒音トラブルを軽減します。
配線・配管のメンテナンス性:支持脚とパネルの間に空間が生まれ、電気・空調配管の後施工や点検が容易です。
施工スピード:乾式工法のため、養生や乾燥工程が不要で工期短縮につながります。
このように、機能性と工期効率を両立できる点がフリーフロアー最大の魅力です。
施工前に押さえたいポイント
施工を始める前に計画と現地調査をしっかり行わないと、後々になって追加費用や手戻りが発生しやすくなります。
以下の項目は必ずチェックしましょう。
設計計画と下地確認
施工前に図面と現地を突き合わせ、既存コンクリートスラブの水平・クラック・進入水の有無を確認します。
水平誤差は支持脚調整で解消できる場合がありますが、クラック補修や防水処理が必要な場合は前倒しして対策を。
事前に必要資材やエポキシ樹脂、プライマーを手配しておくことで工期の遅延を防げます。
参考資料とメーカー要領書の活用
各メーカー(フクビ化学工業など)の施工要領書には、支持脚の間隔、パネルの切り欠き寸法、接着剤の種類など詳細が記載されています。
これを現場手順として書き出し、職人と共有することで仕上がり品質を均一化し、品質トラブルを未然に防げます。
施工工程の詳細
ここからいよいよ、施工の「3大ステップ」を詳しく見ていきます。
各工程で押さえるべき寸法や注意事項を具体的に解説します。
床パネルの連結
乾式二重床の要ともいえるパネル連結作業。以下の流れで進めます。
支持脚の設置と基準根太の確認
基準根太の設置:壁から一定距離を保ち、水平を出したスターターレールを固定します。
支持脚の取付:基準根太に支持脚を所定間隔(通常300~400mmピッチ程度)でビス止めし、初期の高さを合わせます。
支持脚間の水平確認:ストレートエッジ(水平器)やレベル機(レーザーレベル等)を使い、全体の粗調整を行います。
これにより、床パネルを載せる前に大枠の水平を確保します。
床パネルの切り欠きと隙間確保
配管やダクト立ち上がり箇所は、実際に支持脚と配管の位置を確認しながらパネルを測定・切断します。
不揃いの切り欠き部には必ず5〜10mmのクリアランスを確保し、ボードの膨張・収縮に対応できる余裕を持たせます。
特に壁取り合い・配管廻りは、隙間が狭いと施工後に圧迫変形や音鳴りの原因となるため、寸法管理は厳密に行いましょう。
支持脚を仮調整
パネルが載る前に支持脚を回し、ある程度、高さを調整しておきます。
使用する工具は一般的にはドライバーですが、メーカーの中には特殊な支持脚があり推奨するレンチを用いることで、バックラッシュを抑えた確実な調整が可能です。
レベルの本調整
パネルを敷く前後で細かく行うレベル調整。
フリーフロアーの精度はここにかかっています。
施工図で指定された高さに合わせつつ、床全体を一体化した際に水平が保たれるよう各脚を個別にチェック。
手の届く範囲からの最終確認
支持脚から一定距離(約1.5m)離れた位置に立ち、ストレートエッジを手の届く範囲に掛けて全体像を確認します。
局所的な高低差や見逃しがちな微小な段差を見つけやすく、最終的な床の平滑性を確保できます。
この「遠目からのチェック」は、仕上がり品質を左右する重要ステップです。
仕上げ材の施工
土台が完成したら、いよいよ見た目と機能性を決める仕上げ材の貼り付け工程です。
フローリング目地のズレ防止
フローリングの目地と床パネル目地が重なると、目地部分に応力が集中して隙間や反りが生じやすくなります。
施工の際は必ず交互目地配置を徹底し、目地位置が重ならないように貼り付けます。
張り方向と接着剤選定
フローリングの長手方向は、床パネルの方向と直交させることで面構造の強度を高めます。
接着剤は仕上げ材メーカー指定のもの、または弾性ウレタン系接着剤を使用し、粘着性と伸縮性を確保。
気温や湿度が低い時期は、乾燥時間にも余裕を持たせましょう。
フリーフロアーの利便性
フリーフロアーの床下空間を活かした具体例を紹介します。
設計段階での活用イメージを膨らませましょう。
床暖房パネルとの連携
床パネル間に電気式床暖房パネルを挟み込み、支持脚高さを微調整することで、床暖房付き二重床が実現します。
熱ロスを抑える断熱材を併用しつつ、配線ルートとメンテナンス性を考慮した配置計画がポイントです。
空調設備の収納スペース利用
商業施設や事務所では、空調ダクトやケーブル類を床下に隠し、天井面をスッキリ保つ設計が可能です。
可変経路で配管・配線を敷設でき、将来のレイアウト変更やメンテナンスにも柔軟に対応できます。
二重床工法との比較表
フリーフロアーと他の床工法を比較し、最適な選択肢を考えましょう。
工法名 | 特徴 | 施工スピード | 遮音性 | 改修性 |
---|---|---|---|---|
根太工法 | 木製根太+下地合板 | 中 | 中 | 難易度高 |
乾式二重床 | 金属支持脚+パーティクルボード | 高 | 高 | 中 |
フリーフロアー | 樹脂製支持脚+床パネル | 最高 | 高 | 最良 |
フリーフロアーは施工スピードと改修性に優れ、長期的なメンテナンスコストを抑えられる点が最大のメリットです。
失敗しないフリーフロアー施工のコツ
フリーフロアー(二重床)は、高い機能性とメンテナンス性を両立できる乾式床システムです。
施工前の現地調査、支持脚・パネルの精密連結、丁寧なレベル調整、そして仕上げ材貼りの交差目地配置と正しい接着剤選定を徹底すれば、長期にわたり安定した床性能を実現できます。
床暖房や空調配管など設備連携もスムーズに行え、将来のレイアウト変更やメンテナンスにも柔軟に対応可能です。
ぜひ本記事を参考に、品質の高いフリーフロアー施工を成功させてください!