コンクリート構造のマンションやビルでは、床仕上げの一つとして「置床工法」が多く用いられています。特に、パーティクルボード(以下「パーチ」とも呼ばれる)を使った下地にフローリングを施工する構造は、住宅性能の向上や施工の柔軟性の面で大きなメリットがあります。本記事では、パーチの上にフローリングを張る方法や構造、そしてそのメリット・注意点について、詳しく解説します。
置床構造とは?パーチの役割と基本構成
置床とは、鉄筋コンクリートの床スラブの上に直接フローリングを貼るのではなく、支持脚を立てて、その上にパネルを載せる二重床の工法です。これにより、床の水平レベルを自在に調整できるだけでなく、防音・防振性能も確保しやすくなります。
置床の基本構造
- スラブ(コンクリート下地)
- 支持脚(高さ調整可能)
- パーチ(下地パネル)
- フローリング(化粧仕上げ材)
パーチは、フローリングの下に施工される下地材であり、荷重を支持脚に分散させる役割を果たします。多くの場合、厚さ24mmのパーティクルボードが使われ、上に直接フローリングを接着または釘打ちして施工します。
パーチ上にフローリングを施工するメリット
パーチの上にフローリングを施工する構造には、以下のような利点があります。
防音・防振性能の向上
支持脚に防振ゴムを備えることで、歩行音や生活音がスラブへ直接伝わりにくくなります。これにより、マンションなど集合住宅における騒音トラブルを軽減できます。
配管・配線スペースの確保
置床工法では、パーチとスラブの間に配管や配線を通すことができるため、設備の自由度が高まり、将来的なリフォーム時にも有利です。
メンテナンス性の向上
床下点検口を設けることで、配管や設備のトラブルにも迅速に対応できます。パーチは、こうした点検口の設置にも対応しやすい材料です。
フローリング施工のポイントと注意点
パーチ上にフローリングを施工する際には、以下のような施工上の注意点があります。
施工時の接着・釘打ち方法
フローリングは、接着剤で張るか、フィニッシュネイル(頭付き釘)で打ち込む方法が一般的です。パーチへの固定力が適切でないと、床鳴りや浮きが発生するリスクがあるため、接着剤は十分な量を塗布し、加重をかけながら圧着することが重要です。
材料の湿気対策
パーチは木質系合板の一種のため、水分に弱く、湿気の多い場所では膨張や反りが生じやすくなります。洗面所やキッチンなど水回りで使用する場合は、防水処理や水濡れ対応の専用パーチの採用を検討しましょう。
配管とのクリアランス確保
パーチが配管に接触すると、生活音による振動が伝わり、床鳴りや異音の原因になります。設置時には、配管まわりに一定の隙間を設け、断熱材や防振材を併用することで、騒音リスクを軽減できます。
施工に適したシーンと対象者
パーチ+フローリング構造は、以下のような場面に特におすすめです。
マンションのリノベーション工事
既存のスラブを壊すことなく防音性能を高めたい場合、パーチ構造を活かすことで施工時間を短縮し、生活音対策も同時に行えます。
戸建て住宅の床の高さ調整が必要な場合
設備や段差の調整が必要なリビング・キッチンの改修工事において、支持脚+パーチの構造は柔軟性に優れています。
まとめ
パーチの上にフローリングを施工する方法は、多くの集合住宅や改修現場で用いられている信頼性の高い工法です。特に、遮音性・防振性・施工のしやすさにおいて優れており、床の快適性やメンテナンス性を高めたい方にとって、非常に有効な選択肢となります。ただし、湿気や施工精度には注意が必要なため、施工時には専門業者とよく相談しながら進めることをおすすめします。