みなさんこんにちは!床職人歴25年の床工事アドバイザーのヒロです。先日まで1階8部屋12階建てのマンションの水回りの置床工事とフローリング直貼り工事を行ってきました。その現場で、様々な質問にお答えしてきました。同じような疑問を持っている方もいるっしゃると思い、置床工事の流れや価格、施工の際の注意点、良くある質問、納まりなどを載せました。納まりが分からない、耐荷重が分からない、階下の音が伝わり方ってどう理解すればよいのか分からない方などのお役に立てれば幸いです。
置床工事とは?
置床とは、既存の床に支持脚とパーティクルボードなどの木板で床を二重にする工事です。
床の上に床をつくるので二重床とも呼ばれます。
マンションやアパート、店舗などでよく使われている床下地の工法ですが、二重にすることで床下にスペースが生まれ、配管を難なく納めることができます。
また、木組下地と比べ施工性もよく、スピードのある仕上げが可能です。
他にも、床の高さを自由に設定できるので、室内の段差を解消することができます。
ただし、この工法で使う材料は不燃認定ではありません。
◆置床の施工方法とは?
置床の施工は、床の下地をつくることを目的に行われています。
床パネル(パーティクルボードなど)を際根太や支持脚で支持する工法です。在来木軸工法のように根太組が不要で、支持脚ボルトを調整するだけで精度の高いフロアが作れます。
また、用途に応じて遮音性・補強性を高める施工も可能です。
置床・乾式二重床はユニットフロア、アジャスターフロアとも呼ばれています。
施工方法には壁先行工法と床先行工法があります。
尚、積算時には支持脚の数が異なるため注意が必要です。
◆壁が先か?床が先か?置き床の工法・壁先行工法と床先行工法
壁先行工法
各部屋の間仕切り壁を先に施工した後で、床組をする工法です。
部屋ごとに仕切られているので、仕上げ材の厚み差や隣室の使用に左右されずに床組みできます。
床先行工法
二重床を先に施工してから間仕切り壁を施工する工法です。
他工事と絡むことなく施工できるので工程管理がし易いです。異なる仕上げ材を使う場合で、厚みが違うと、床下地(パーティクルボードもしくは捨て貼り)の天端で段差が増えます。
また、後で間仕切る場合には、壁の下になる床に支持脚などで補強が必要になります。
◆置床工事の流れ
では、実際にどんな施工がされているのでしょうか?簡単に説明していきます。
それでは、置床工事について説明していきます。
今回、説明するのは、すべて基本的なことですので、置床工事をご検討の方は必見です。
基本的な流れとしては、際根太の設置→支持脚とパーティクルボードの設置→レベル調整→コンパネ捨て貼りになります。
床の適用高さは、70~1100mm程度です。それ以上になると他の床下地材での提案になります。
☑前工程にて設備配管の位置が自由に決められ設置できます。
☑コンクリート打設後、3週間以上の養生が必要です。
☑タイルやCF上に施工すると床鳴りの原因となります。
際根太の設置
置床工事で使う際根太や支持脚は、水平を調整するだけでなく建物を利用し始めてから床の荷重を受け止める役割があります。
良い床を作るためには、際根太と支持脚の適所への設置と、水平を出すために適切な設置の仕方が大切。
建物を利用し始めて直ぐに、体重を掛けただけで床が深く沈んだり床鳴りがする場合には、何らかの原因があります。
☑床の端部となる場所に設置するもので、床の衝撃音を低減する優れた支持材です。
☑左の写真のように、複数の支持脚で床材を支えます。遮音性や耐荷重に優れます。
☑壁と縁切りされるので、在来と比べ床鳴りや音の問題が出にくいです。
支持脚とパーティクルボードの設置
パーティクルボードの加工で気をつけなければならないのは、ボードなどの壁とくっつきすぎないようにすること。
床鳴りの原因になるからです。
また、芋貼りにしないで、レンガ貼りで仕上げていきます。
力の掛かる部分を一緒にしないためです。当たり前のことですが、しっかりと行わなければなりません。
パーティクルボードは壁から5~15mm程度の隙間を開けて敷き込み、支持脚をビス・釘留めして取り付けます。(458mmピッチ)
パネル敷き込みはレンガ張りとし、パネル同士は12mm程度目透かしをします。
☑支持脚にてレベル調整できるのでフラットな仕上がりが得られます。
☑防振ゴムを使用しているので、遮音性と程よい弾力性があります。
☑厚さの異なる仕上げ材にも高さ調整ができるので段差がなく、バリアフリー化が実現できます。
レベル調整
水平精度、レベル精度にも影響を与える際根太と支持脚の設置。
置床工事を長く行って来た中で、レベルが上手く出せないケースもありました。
それは、人の認識不足が起こすヒューマンエラーが多いんです。
例えば、支持脚の長さが足りなかったり、配管に当たっていたりと、いくつかそういった原因はあるのですが、そういったことをチェックしながら行います。
一つひとつの施工の積み重ねが、強い床を生み出します。
☑レベルレーザーや水糸等を使用し、レベルの確認を行います。
☑事前にある程度レベルの調整をしておくと、最終のレベル確認がスムーズにできます。
☑厚さの異なる仕上げ材にも高さ調整ができるので段差がなく、バリアフリー化が実現できます。
最終調整・点検
床全体を歩いて、支持脚が浮いた箇所がないかを確認します。
浮いている箇所は、支持脚がスラブ面に付くまで、支持脚ボルトを回します。
支持脚上を歩いて他よりも柔らかく感じられる箇所は、支持脚が床スラブに触れるまでボルトを回します。
支持脚ボルトの調整後にボルト頭部に接着剤を注入します。これ以降は床のレベルを変える事ができなくなります。
☑接着剤は硬化する過程で膨張します。注入のし過ぎには注意してください。
合板捨て貼り
置床施工の後に捨て貼りが必要な場合。捨て貼りを行います。
基本的にパーティクルボードと仕上げ材の間に合板を貼ります。
仕上の床材である、フローリング、カーペット、じゅうたん、クッションフロア、タイル、畳に適した床下地をつくります。
また、床暖房を設置する場合には、ダミー合板張りを行います。
捨て張り合板は床パネル(パーティクルボード)と直交させて施工します。
☑厚さ・仕様は各仕上げ材メーカーの施工要領に従います。一般的に9・12×910×1820mmです。
☑仕上げ材によって合板を選定します。
☑端部以外のジョイントは隙間を開けず、壁と床の取り合いはクリアランスをとる事で床鳴りを防ぎます。
◆置床工事の単価はどのくらい?
置床・乾式二重床工事平米単価(壁先行工法)
床高 | 施工面積・数量 | ㎡単価・価格 |
床高H=100程度 |
100㎡ 300㎡ 1000㎡ |
¥3,200/㎡〜 ¥3,100/㎡〜 ¥3,000/㎡〜 |
床高H=300程度 |
100㎡ 300㎡ 1000㎡ |
¥3,800/㎡〜 ¥3,600/㎡〜 ¥3,300/㎡〜 |
際根太工事平米単価
際根太タイプ | 床高 | 数量 | 価格/m |
無遮音タイプ |
H=100 | 100m 300m 1000m |
¥1,100/m〜 ¥1,050/m〜 ¥1,000/m〜 |
準遮音タイプ |
H=100 | 100m 300m |
¥1,200/m〜 ¥1,150/m〜 |
在来工法での際根太 | H=100 | 100m 1000m |
¥800/m〜 ¥750/m〜 |
無遮音タイプ |
H=300 | 100m 300m 1000m |
¥1,300/m〜 ¥1,250/m〜 ¥1,200/m〜 |
準遮音タイプ |
H=300 | 100m 300m |
¥1,400/m〜 ¥1,350/m〜 |
在来工法での際根太 | H=300 | 100m 1000m |
¥900/m〜 ¥850/m〜 |
捨て貼り工事平米単価
合板名 | 材工 |
ラワン合板9㎜ | ¥2,400/㎡〜 |
ラワン合板12㎜ | ¥2,800/㎡〜 |
ラワン合板15㎜ | ¥3,800/㎡〜 |
針葉樹合板9㎜ | ¥2,350/㎡〜 |
針葉樹合板12㎜ | ¥2,650/㎡〜 |
ファルカタ9㎜ | ¥2,400/㎡〜 |
ファルカタ12㎜ | ¥2,650/㎡〜 |
◆置床工事の納まり:床先行
床先行:サッシ掃き出し〜床見切り
床先行:LD〜洋室
床先行:戸境壁LD〜洋室/ふかし壁
戸境壁(LD)ふかし壁 |
戸境壁(LD) |
戸境壁(洋室)ふかし壁 |
戸境壁(洋室) |
床先行:洋室・玄関・廊下など
洋室〜廊下〜洋室(床見切り) |
玄関(三和土・湿式) |
玄関(三和土・乾式) |
クローゼット |
廊下〜洗面所 |
廊下〜洗面室〜浴室UB |
◆置床工事の納まり:壁先行
壁先行:サッシ掃き出し〜床見切り
壁先行:LD〜洋室
壁先行:戸境壁LD〜洋室/ふかし壁
戸境壁(LD)ふかし壁 |
戸境壁(LD) |
戸境壁(洋室)ふかし壁 |
戸境壁(洋室) |
壁先行:洋室・玄関・廊下など
洋室〜廊下〜洋室(床見切り) |
玄関(三和土・湿式) |
玄関(三和土・乾式) |
クローゼット |
廊下〜洗面所 | 廊下〜洗面室〜浴室UB |
◆置床工事についてのよくある質問Q&A
乾式二重床の耐荷重は何kg?
平米当り最大で約180kgf程度です。
実は置床もっと重たいものを載せても壊れないとのメーカーが公表していますが、その重さは、平米当たりの集中荷重で400kgf、面荷重で400kgf載せても、沈み込みが発生するものの、壊れません。
但し、積載荷重に関しては、建築基準法で構造計算上「住宅の場合は、約180kgf/㎡」と設定されていますので、部屋全体にこれ以上の荷重が掛かる場合は構造躯体の安全性について確認が必要となります。
そのため、平米当り最大で約180kgf程度としています。
家具やグランドピアノを置いても、床は壊れませんか?
置床が施工されていても、家具やピアノ等の重量物を置いた場合、沈み込みが発生(100kgfの集中荷重で3~4mm程度)します。
床が壊れる心配はありません。
但し、ピアノを設置する場合は、脚部の荷重分散及びフローリング表面保護のため、専用インシュレーションや300mm角程度の補強板を設置願います。
また、床の沈み込みを小さくするためには、床下地施工前であれば支持脚の追加設置や合板等の重ね貼り施工による補強をおすすめいたします。
マンションの床をクッションフロアや絨毯に変更する場合、遮音性能は大丈夫?
重量床衝撃音の場合、床仕上げ材の違いによる衝撃源への緩衝効果は床衝撃音遮断性能に効果があります。
床の一部が局部的に変形し、衝撃源に対して床仕上げ材の緩衝効果が出ます。
そのため床仕上げ材によって床衝撃音遮断性能が変化します。
重量床衝撃音の場合、床仕上げ材が違っても床衝撃音遮断性能はほとんど変わりません。
この場合、床構造全体が曲げ変形し衝撃源に対しての緩衝効果がほとんどないためです。
上の階の足音がきになりますが、どうにかなりませんか?
置床・乾式二重床は、防振ゴム付き支持脚やパーティクルボードが、床に加わる衝撃力を吸収することで下階への床衝撃音を軽減しますが聞こえなくなるわけではありません。
静かな環境・生活時間帯差、家族構成の差により、近隣の迷惑となる場合があります。
音に対する感じかたは個人差があるため一概には言えませんが、生活(音の発生)に一定の配慮が必要です。
床の上を歩くと沈む感じがするのはなぜ?
置床・乾式二重床は、防振ゴム付き支持脚で床面を支えています。
防振ゴムの効果により床上で発生した振動を軽減させ、下階へ伝搬する振動を減らしています。
また、防振ゴムの適度な弾力性により人体(膝・腰)にかかる負担も減らします。
但し、床の歩行時に防振ゴムが沈み、柔らかく感じることもあり、家具や食器棚が揺れることもあります。
これは施工不良ではなく、乾式二重床の特性です。
家具や食器棚の揺れを減らすには、家具や食器棚の前面下部にバッキン材を入れるなどのご対応をお願いします。
実際の建物の床衝撃音遮断性能を保証できますか?
建物における床衝撃音は、床仕上げ材・床スラブ・壁・天井などの影響を受けます。
また、これらが相互に影響しあうため、高い精度で予測することは非常に困難であり、1ランク程度の予測誤差が生じる可能性があります。
乾式二重床に限らず設計段階において、実現場における床衝撃音遮断性能の等級を保証することはできないのが現状です。
置床・乾式二重床施工はコンクリートスラブ上だけ?
いいえ
置床・乾式二重床は、RC造・SRC造・S造や木造などの建物においても施工可能です。乾式二重床の施工につきましては、ご相談ください。
支持脚を性能別に分類すると何種類ありますか?
◆支持脚の耐久性
高強度の金属製・高防錆性の樹脂製のものがあります。
◆高遮音タイプ
集合住宅の2階以上で、遮音性能が必要な場合に使用されます。
接地時の安定性と振動伝達軽減と追及した支持脚防振ゴムにより高い床衝撃音低減性能が得られます。
◆非遮音・補強タイプ
高荷重の物が置かれる場所(店舗・機械室・倉庫)や畳部、床先行時の間仕切り部に使用されます。
沈み込みの少ない硬質ゴムにより高い剛性が得られます。
支持脚のレベル調整後に使う接着剤はなぜ必要ですか?
専用接着剤は、支持脚をスラブに接着固定するものです。
その結果、遮音性はもちろんのこと、歩行時の室内への反響音の減少・地震時の揺れに対する変位防止・床の変形防止が期待できます。
30m²程度のリビングであれば水平方向、鉛直方向の耐力は1t程度期待できますので、地震時でも安心です。
上階の足音などが聞こえないようにするには、どのタイプの二重床を選定したら良いですか?
下階での音の聞こえ方は、二重床の性能だけでなく、構造躯体の性能・上階での発生音の大きさ・周辺環境の静かさ(暗騒音の大きさ)等により大きく変わります。
そのため、遮音に配慮し選定した二重床でも、上階の音が聞こえる場合があることを、ご理解願います。
マンションのリフォームに二重床を使いたいのですが、どのタイプを選定したら良いですか?
多くの管理組合では、「LL45の商品を使用すること」等の規約がありますので、規約に適合する仕様を選定してください。
なお、和室からリビングへの用途変更やカーペットからフローリングへの仕上材変更等の場合、下階での音の聞こえ方が変わり、ご指摘が出ることがありますので、注意が必要です。
LL45の商品とLL50の商品は、どちらが良いのですか?
この[LL○○]は、軽量床衝撃音「推定L等級」で、上階で発生した椅子の音等がどれ位下階に伝わるかを示した値で、値が小さいほうが遮音性能が優れていることを示します。
尚、この値は公的試験場での試験結果を基に推定された性能値で、一般的には「カタログ値」と呼ばれており、あくまで相対的な指標です。
実際の性能は変わることがあります。尚、公的試験機関では、すでに推定L 等級を試験成績書に添付することを廃止しており、今後は、新しい表示方法に変更されていきます。
従来の推定L等級LL-45、LH-50の製品は新しい性能等級(ΔL等級)では、どのランクになりますか?
YPEタイプは、新しい性能等級(ΔL等級)試験方法による結果は、ΔLL(Ⅱ)-3、ΔLH(Ⅱ)-2で、従前の推定L等級の試験方法ではLL-40、LH-50です。しかしながら、床端部の納まりまでを再現するΔL等級と、床中央部のみを再現していた推定L等級では、試験方法自体が大きく異なるため、単純に両等級間の対応を示すことはできません。
支持脚のゴムは劣化しませんか?
支持脚に使用している防振ゴムの耐久性に関しては、紫外線や繰返し荷重の影響による劣化等が考えられます。しかしながら、支持脚の使用部位は、床下であることから紫外線の影響による劣化の恐れは、非常に少ないと考えられます。製品については、局部荷重(100kgf )による200万回の踏み込み試験を行い、繰返し荷重による劣化等に関する評価を行なっておりますが、問題は発生しておりませんし、20年以上の使われてきた中でも、劣化による問題は発生しておりません。よって、一般的な床下に使用されるのであれば耐久性については、問題は無いと判断されています。
壁先行工法と床先行工法では、どちらが床衝撃音遮断性能が良いのですか?
壁先行工法と床先行工法の上下階の床衝撃音遮断性能については、同じ仕様であればほとんど差はありません。但し、施工上で不具合の発生しやすい壁際の取合いが減るため、床先行工法の方が安定した性能が、確保しやすくなります。また、建具開閉時の衝撃音低減効果等も床先行工法の方が優れていると考えられます。
最期に
株式会社霜鳥では乾式二重床・置床工事施工を行っています。
私たちは日頃から公共施設をはじめ、アパートやマンション・事務所やオフィスなどの乾式二重床・置床工事施工を行っています。
また乾式二重床・置床工事施工だけでなく、木床工事全般の施工対応が可能です。
OAフロア・鋼製床下地・フローリング貼りタイルカーペットなど仕上げ
床工事のプロフェッショナルである1級床の技能士を持ちます。
もし、乾式二重床・置床工事施工についての疑問がありましたら、ご相談ください。
数多くの実績があります。
施工はもちろん、材料の提案も居たいします。
置床・乾式二重床施工対応地域について
弊社では、関東甲信越地域で置床工事やフローリング工事の対応をしています。
ただ、本社では長野や群馬、新潟、山梨をカバーしています。
また関東は、本社もしくは、いつも一緒にチームで動いている職人グループで対応しています。
規模が大きいと、同業者とのJVで対応することもあります。まずは、ご相談ください。
東京都23区/東京都郊外/神奈川県/千葉県/埼玉県/茨城県/栃木県/群馬県/山梨県/新潟県/長野県