床工事やリフォームを行う際に注目される「置き床工法」。中でも、床の安定性と性能を支える重要な部材が「支持脚」です。本記事では、置き床に使用される支持脚の種類とそれぞれの特徴について詳しく解説します。また、使用用途や選び方のポイントについても紹介します。
置き床とは?支持脚の役割と仕組みを知ろう
置き床とは、コンクリートスラブ(構造床)の上に支持脚を設置し、その上にフロアパネルやパーチクルボードを敷くことで、仕上げ床を形成する工法です。
支持脚は、床材を支えるための脚で、床全体の高さを調整し、配線や配管のスペース確保、遮音性能の向上など、多くのメリットを生み出します。支持脚の種類によって、工法の特性や対応できる床の条件も変わってくるため、選定は非常に重要です。
置き床の支持脚|主な種類と特徴
YPE型支持脚(遮音タイプ)
YPE型は、遮音性能を重視する場面で多用されるタイプです。支持脚の頭部から接着剤を注入してスラブに固定する特許技術が使われており、振動や音の伝達を効果的に抑制します。
補足:防音性能が求められるマンションやアパートなどに適しており、下階への音の配慮が必要な家庭向けです。
WP型支持脚(補強支持脚タイプ)
WP型は、通常の床荷重に加え、より重い設備や家具にも耐えられるように設計されています。補強が必要な箇所や開口部の下地補強としても有効です。
補足:重い家具を多く置くリビングや商業施設など、荷重が大きくかかるエリアに適しています。
NP型支持脚(ネダ受け金具仕様)
NP型は、木下地(ネダ)を受けるための金具がついている仕様で、床のたわみや沈み込みを防止するための構造になっています。
補足:伝統的な木造床の構造を活かしたいときや、床下点検口などの設置が必要な場合に向いています。
OAP型支持脚
OAP型は、高さ調整機能が優れており、フロア全体を水平に保つために活躍します。段差が生じやすい場所でも調整がしやすいのが特徴です。
補足:バリアフリー対応や床のレベル差をなくしたいときにおすすめの仕様です。
PDP型支持脚
PDP型は、特殊な防振性能を備えた支持脚です。振動が気になる機械室やスタジオなどの床工事に用いられます。
補足:音楽スタジオや設備室など、防振が特に重視される場所に向いています。
その他の支持脚素材と構造のバリエーション
プラ木レン
プラ木レンは、樹脂素材でできた軽量・高耐久の支持脚です。水や湿気にも強く、防腐・防錆性に優れています。施工のしやすさもあり、DIYユーザーにも人気があります。
補足:洗面所やトイレなど湿気の多い場所や、メンテナンスがしやすい素材を選びたい方におすすめです。
スチール束・T型鋼製束
スチール製の支持脚は、非常に強度が高く、建物の構造強化にも貢献します。高さ調整ネジがついており、ミリ単位での調整が可能です。
補足:重量のかかる床や、構造躯体としての強度確保が求められる場所に使用されます。
置き床支持脚の設置ポイントと注意点
支持脚の設置間隔(ピッチ)は床の強度と耐久性に大きく影響します。一般的には以下のようなピッチが推奨されます:
- 短辺方向:300mm程度(最大でも309mm以内)
- 長辺方向:455mm程度(最大でも459mm以内)
また、開口部や壁際には特に強度が求められるため、支持脚の追加設置や補強が必要となる場合があります。
補足:支持脚の設置には専門的な知識が必要で、特に水廻りや段差解消が必要な場合はプロに依頼するのが無難です。
置き床の支持脚は用途や構造で選ぼう
支持脚の種類は非常に多く、それぞれの用途や性能によって選び方が変わります。遮音性を重視するか、構造強度を重視するか、施工の手軽さを重視するかで選択が分かれるため、施工場所の環境や希望に応じて選びましょう。
まとめ
置き床の支持脚には多くの種類があり、それぞれに特徴と適した用途があります。住宅のリフォームやマンションの改修工事、商業施設の床工事など、さまざまなシーンで支持脚の正しい選定と設置が求められます。施工の質を高め、快適で安全な床環境を整えるためにも、支持脚の知識は非常に重要です。
まずは施工予定の条件を整理し、信頼できる専門業者に相談することから始めてみましょう。