床支持脚とは?種類・特徴・使い方まで徹底解説!

   置床・乾式二重床支持脚設置及びレベル調整作業

床支持脚とは何か?基礎から知ろう

床支持脚(しじきゃく)とは、マンションや団地のような集合住宅において、コンクリートスラブと床材の間に設けられる脚部材のことを指します。床を直接コンクリートスラブに貼る「直貼り工法」とは異なり、床支持脚を使うことで、床材とスラブの間に空間(床下空間)を確保する「置き床工法」や「二重床工法」が実現可能となります。この構造により、防音性・施工性・配線配管の自由度などが向上します。

床支持脚は、床を平行に施工するための高さ調整機能を持つことが多く、スラブ面の凹凸を吸収しながらも、水平な床面を確保できる点が大きな特徴です。

床支持脚の特徴とメリット

スラブの凹凸に左右されず、水平な床仕上げが可能

コンクリートスラブは施工精度によって微細な傾きや凹凸が生じる場合があります。床支持脚は高さをミリ単位で調整できるため、施工時に微調整することで、完璧な水平状態の床を実現できます。これにより、家具や家電のがたつきが少なくなるため、生活の快適性が高まります。

防振ゴムなどで遮音・振動吸収効果を発揮

床支持脚の多くは、頭部に防振ゴムを装備しており、上下階への振動や音の伝播を抑制します。特に遮音性が重視されるマンションなどでは、LL-45等級やそれ以下の遮音性能をクリアするためにも、支持脚の性能が重要になります。

配線・配管の自由度が高く、リフォームにも有利

床下に空間を作れるという点で、電気・水道・ガスなどの配線・配管の取り回しが非常にしやすくなります。特にリノベーションや間取り変更を伴うリフォームでは、床支持脚の存在が大きな利点となります。

床支持脚の主な種類と用途別の選び方

床支持脚は用途や目的に応じて様々な種類が存在します。ここでは代表的なタイプとその特長を解説します。

マルチフロアー用

一般住宅から集合住宅まで幅広く対応可能な汎用タイプです。高さ調整機能や固定ビス付きの製品が多く、施工も比較的容易です。多目的に使いたい人や、特に指定がない場合はこちらを選ぶのが無難です。

遮音タイプ

遮音性能を重視した構造で、防振ゴムや吸音構造が内蔵されています。マンションのように上下階の音に配慮する必要がある住宅では、このタイプが推奨されます。

補強用支持脚

耐荷重性に優れた構造で、重量のある家具や設備の下に設置するのに適しています。ピアノ、食器棚、大型の冷蔵庫などを設置する予定がある箇所には、このタイプが有効です。

合板支持脚

主に床下の合板材との組み合わせを前提に設計されており、構造的な安定性と水平性を兼ね備えています。木造住宅のリフォームなどにも対応しやすい設計です。

ウッドデッキ用支持脚

屋外のウッドデッキ施工に使用される防腐・防錆性能を高めた支持脚です。雨水や直射日光に耐える材質を用いており、屋外環境でも長期にわたって安定性を保ちます。

床支持脚を施工する際のポイント

床支持脚の施工には専門的な技術が求められます。以下のポイントを押さえておくことで、安全かつ高精度な仕上がりが期待できます。

支持脚の間隔(ピッチ)に注意

標準的な支持脚の配置ピッチは、長辺方向で455mm以内、短辺方向で300mm以内が推奨されています。用途や設置場所によっては、ピッチを狭めて補強する必要がある場合もあります。

高さ調整と水平確認は慎重に

支持脚の高さは一つずつ調整可能ですが、列ごとのレベルを常に確認しながら進めることが重要です。水平器やレーザー墨出し器などを活用し、全体での床水平度を維持しましょう。

防音性・防振性を確保するための設置法

支持脚と床材の間に適切な防振ゴムを挟む、接着剤を均等に塗布して施工するなど、防音性を最大限発揮するための工夫が必要です。特に遮音タイプの床材を使用する場合、メーカーの推奨工法を厳守することが大切です。

床支持脚が活躍する場所とシーン

床支持脚は、住宅だけでなく、商業施設、オフィス、教育施設など、さまざまな建物で活用されています。

  • 集合住宅(マンション・団地):遮音性と水平性が求められるため、支持脚は欠かせない存在です。
  • 店舗やオフィス:配線の自由度が高いため、レイアウト変更の多い場所に適しています。
  • 学校や体育館:大型施設では900mmピッチなどで設計されることが多く、耐荷重性や安定性が重視されます。

床支持脚は快適な床づくりに欠かせない存在

床支持脚は、単なる建材ではなく、住環境の快適性・安全性・メンテナンス性を支える重要な部材です。遮音性能を高めたい方、床の高さを自由に調整したい方、将来的な配管・配線の利便性を確保しておきたい方にとって、支持脚は非常に有効な選択肢となるでしょう。使用場所や目的に応じて最適なタイプを選び、確実な施工を心がけることで、快適な住環境が実現できます。

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