フローリングの直張り工法はご存知でしょうか?
フローリングの直貼りは、モルタルやコンクリートの上に直接フローリングを張っていく工法です。鉄筋コンクリート造のマンションや公共施設などで採用されることが多く、置床を使う捨て貼り工法と比べ建物の高さを有効に利用することができます。
◆文教施設の床工事事例|直貼り専用フローリングを用いた直貼り工法
今回紹介する施工事例はフローリングの直張り工法です。
直貼りは、コンクリートなどの上にフローリングを直接貼っていく工法です。釘は使いません。つまり接着剤のみで施工していきます。戸建て住宅など接着剤と釘を併用して施工する一般的な捨て貼り工法とは違い、固定するためのフロアステープルは使いません。
また、木下地などをつくる必要がなく材料代と施工手間が発生しません。それだけメリットがありますが、デメリットもあります。
それは施工が難しいこと、構造によっては冬場の床の寒さが気になるといったことです。
下記の写真をご覧いただければ、コンクリートの上に貼っていくのがわかりますよね!右下の写真は張出しですが、直接コンクリートの上に並べていっています。
◆直貼りフローリングに必要な下地の精度とは?
直貼りフローリングには、一般的なフローリングと同様に無垢や複合材があります。ただ、無垢材を使う場合には床が馴染みにくいことも知っておきたいことです。それだけスラブの水平精度が求められます。それに比べ複合材は馴染みやすいです。裏面のパルプクッションにスリットが入っているものもあり、多少の不陸に対応できるようにはしてありますが、床に凹凸があると張り終えた後に、そこだけ浮いていしまうこともあります。
コンクリート等の上にフローリングを直接貼って施工するだけに、下地となるコンクリートやモルタル面が平滑であることが大切なんです。部分的に凹凸や欠けや割れなどがある場合には、補修して、平滑にすることが望ましいです。
◆直貼りフローリング施工|接着剤塗布について
フローリングを張り付けていくために接着剤を塗布していきますが、コンクリートの上には密着性の高いエポキシ系接着剤を使います。
接着剤を均一に塗るためにクシ目ゴテを使って塗布します。塗布といいますか慣らしているといった方が感覚的にはピンとくるかもしれません。
クシ目ゴテの役割はそれだけではありません。写真を見るとフォークでなぞった様な跡がありますよね!
これは、コテの先端に溝があり、出来るものですが、意味があります。接着剤に山と谷ができることで溶剤や空気などを逃がしているんです。着剤を均等にコンクリートに馴染ませることができるんです。
◆フローリング直貼り施工完了
施工完了です。いかがでしょうか?パッと見、捨て貼り工法なのか直貼り工法なのか分かりませんよね!
直貼りのメリットをお伝えしたように、この貼り方は下地をつくる工事が必要ありません。そのため、既存フローリングの上から張るリフォームは、この材料からでした。その頃は、まだ二重張りや上張りといったカテゴリーは無く、ただ単にフローリングリフォームとして行う業者がいる程度でした。
また、一昔前の、加工技術やプリント技術は今ほど精細ではなく、厚みのあるフローリングが一般的でした。どんなに薄くても9mm以上あり、張ってしまうとドア回りが高くなって開閉ができなくなる住まいが多かったんです。
そのため、リフォームをする場合には、既存床を撤去し新しいフローリングを張る、張替えでなければ対応できませんでした。
しかし、今では、1.5mmなどのかなり薄いフローリングも開発され販売されています。このフローリングは既存の床の上から張れるケースが多く、コストを抑えてリフォームするのに一役買っています。
このフローリングも基本的には直貼り工法と同様の施工ですが、中には両面テープで施工できるものや接着剤が必要ないものまでありDIY用床材としても人気を博しています。ただ、注意しなければならないのは、既存床にダメージやたわみが無いかです。下地となる床が悪ければ、その上に貼ってもすぐにダメになってしまうでしょう。
◆フローリング直貼り施工について知っておきたいこと
コンクリートの上に直貼りフローリングを施工するには、その含水率にも注意が必要です。
スラブに直接貼ることができるフローリングですが、スラブの中の水分量を少なくするため、しっかりと乾燥させる必要があります。
また、マンションの場合には遮音性能も考慮する必要があります。二重床の場合には支持脚で音を緩衝しましが、直貼りの場合には、フローリングで緩衝しなければなりません。そのため、床の張り替え時には遮音フローリングを選ぶ必要があります。建物の防音規定に合うものでなければなりません。