「置き床」って何?床の仕様決定前や床リフォーム前に知っておくべき優れた下地工法

   

置き床とは

置床、またはフリーフロアとは、建築における床組の一種です。
この工法は、直接土間コンクリートの上に床を貼り付けるのではなく、調整可能な束を使用して床板を支えます。
この束の利点は、床の高さを柔軟に調整できる点にあり、空間に応じて最適な高さに設定することが可能です。
特にマンションのような多層建築物では、配線や配管を床下に隠す必要がありますが、置床システムであれば難なく施工ができます。
根太を使用せずに床板を支えるので、床下空間を有効活用できます。
メンテナンス作業も容易になり、建物の機能性が向上します。
このシステムの導入により、内装は、美観だけでなく機能性が高い空間を創り出す事ができます。
フリーフロアは、柔軟性と効率性の良い例であり、多くの建物、特にアパートやマンション、公共施設などでスタンダードな床材として採用されています。

フローリングリフォームにも最適な工法!在来組床の課題を次々とクリア

バリアフリーリフォームを検討する際、床の段差解消は重要なポイントです。
その際に、採用されているのが「置き床工法」です。
前述しましたが、この工法は、既存の床に、さらに新しい床材を上に乗せる手法で、段差を簡単になくすことができます。
車椅子を使う施設や高齢者の方が利用施設では、動きやすさが大きく改善されるでしょう。

置き床工法を採用した床は、歩き心地も快適です。
新しい床材の下に、遮音材や断熱材を設置することが可能で、静かで温かい室内環境を実現できます。
また、床材の種類によっては、滑りにくい素材を選ぶことで、安全性をさらに高めることができます。

この工法の魅力は、施工の簡便さにもあります。
複雑に床を組むわけではないので、工事期間が短く、コストが抑えられる傾向にあります。
そのため、バリアフリーリフォームを実現したい方には特におすすめの工法です。
床リフォームを考えた際、置き床工法は、段差解消はもちろんのこと、歩き心地の良さ、施工の手軽さによる工期短縮など、多くのメリットがあります。
バリアフリーな住空間を手軽に実現したい方は、この工法を検討してみる価値があるでしょう。

写真だけでも施工性が分かる!置床工法の施工の流れ

乾式二重床効能は、床パネルを支持脚で支持する工法であるため、根太組が必要な在来軸組み工法とは違い、簡単なボルトの調整のみで床下地の施工ができます。
また、湿式工法と比較して、接着剤の硬化を待つ必要がなく工期短縮につながります。

加えて、床下空間を確保できる構造なので、自由な配管や空気層による遮音断熱効果を高めることが可能です。

1,際根太の取り付け

際根太とは、壁との取り合いなどで使う長物の簡易レベル調整可能な建材です。
際根太の取り付けにおいては、壁との間に適切な隙間を保つために隙間調整材を活用します。
この工程では、まず壁から一定の距離を保って際根太を配置。
その後、水平を確認しレベル決定。
確実に固定するために接着剤を使用します。この接着剤は際根太が正確な位置で固定されるよう、事前に決められた箇所に適量を注入することが重要です。

※注意点
– レベルは非常に重要。際根太が水平でない場合、床全体の品質に影響を及ぼす可能性がある。
– 接着剤の使用量に注意。過剰または不足があると、際根太の固定が不十分になる恐れがある。

2,吸音材の敷き込み等

床下に断熱材を敷き込むことで、地面からの冷気の侵入を防ぎ、室内の暖かさを保持することができます。
同様に、吸音材は、生活音や外部からの騒音を軽減し、静かな居住環境を実現します。
施工にあたっては、敷き込む断熱材や吸音材をメーカーの推奨通りに進めていきます。

※注意点
– 施工前には、使用する断熱材や吸音材の性能と仕様を確認し、適切なものを選択。
– 材料を敷き込む際は、隙間なく均一に配置することで、その効果を最大限に発揮できる。

3,基準パーティクルボードの敷き込み

基準となるパーティクルボードを設置します。この作業を行う際には、際根太の上にパーティクルボードを敷き、壁との間には5㎜から15㎜のスペースを確保する必要があります。この隙間は、床鳴りの防止、そして材料の膨張や収縮を考慮して設けるもので、床の構造的な安定性を保つために重要です。

※注意点
– パネルを敷く前に、際根太がしっかりと固定されているかを確認。
– 壁とパネルの間の隙間は一貫して5㎜から15㎜を保つ。

4,基準レベル出し

正確な水平性度を確保するために水平器を活用します。具体的には、短手方向のレベルをチェックし、それが適切でない場合はマイナスまたはプラスドライバーを用いて微調整を行います。この作業により、床が水平になるようにします。

※注意点
– 水平器は正確に読み取れるものを使用すること。
– レベル調整後は、複数の箇所で水平を再確認すること。

5,床伏せと支持脚の取り付け

この工程では、パーティクルボードを用いて床の基盤を作り上げることが中心となります。具体的には、パーティクルボードを敷き詰め、その間に支持脚を配置していきます。支持脚の間隔は、一般的に458mm以内に設定されることが多いですが、プロジェクトの仕様によっては611mm以内に設定される場合もあります。この支持脚の正確な配置が、後の工程での床の安定性や耐久性に大きく影響を与えます。

取り付けた後は、パーティクルボードの端材や定尺材を使用し、レベル調整を行います。これにより、床全体が水平に保たれ、後に施されるフローリング材やカーペットが適切に設置できるようになります。

※注意点
– 支持脚の間隔はプロジェクトの仕様書を確認し、正確に守ること。
– レベル調整は丁寧に行い、床全体の水平を保つことが重要。
– パーティクルボードの配置は、隙間なく密接に行うことで、床の強度を確保する。

6,床伏せと支持脚の取り付け2

パーティクルボードはレンガ張りで敷き詰めていきます。
均一な隙間を保つために、約12ミリメートルのスペーサーを使います。
また、床の水平を保つためには、水平器やレーザーレベルを使用してレベル調整を行い、必要に応じてドライバーで微調整します。

※注意点
– パーティクルボードを敷く際に、レンガ張りにすることで、強度を確保。
– スペーサーの使用は、均等な隙間を作るために重要です。サイズは12ミリメートルを推奨。
– 水平器やレーザーレベルを使って床が完全に水平であることを確認し、必要に応じて調整し直す。

7,支持脚とパーティクルボードの固定

パーティクルボードの敷いた後、支持脚を固定していきます。具体的には、釘やビスを使用します。
体重をかけて支持脚を安定させながら、釘やビスで固定していきます。
床全体の安定性が向上し、長期にわたる耐久性が確保されます。

※注意点
– 釘やビスを打ち込む際には、角度にも注意し、支持脚がしっかりと床に固定されるようにすること。
– 固定作業を行う前に、支持脚とパーティクルボードが正確に位置合わせされていることを確認すること。

8,レベルの確認及び点検

置床工事の最終段階として、レベルの確認と点検を行います。
水糸やレーザーレベルを使って、床面を水平にしていきます。
レベル調整後には、床を歩き回り、支持脚が浮いていないかを確認します。
もし支持脚の浮きが見つかった場合は、改めてレベルを調整し、
床全体が均一なレベルになるようにします。

※注意点:
– 水糸やレーザーレベルを使用する際は、器具が正確に設定されていることを確認する。
– 床を歩く際は、全体を均等に確認し、見落としがないように注意。
– 支持脚の浮きを見つけた場合は、速やかに調整を行い、レベルが正確に保たれているかを再度チェック。

9,接着剤の注入

接着剤の注入プロセスは、置床工事における重要なステップの一つです。この工程では、支持脚のボルト頭部に専用の接着剤を丁寧に注入し、床材の固定を強化します。さらに、接着剤が隣接する部分に漏れ出ないよう、目透かし部分にはガムテープを使用して養生を施します。この手順により、床材の動きを抑え、長期間にわたる安定性を確保することが目的です。

※注意点
– 接着剤の注入量は、メーカーの推奨する範囲内で行うこと。
– ガムテープの使用は、接着剤が不要な部分に広がらないようにするため、慎重に行う必要がある。
– 接着剤が乾く前に、余分な部分はきれいに拭き取ることが重要です。

支持脚には様々な調整域が!100㎜以内から1m以上まで可能

支持脚には様々な種類があり、床のレベル調整が可能です。
床下空間が必要な建物にも適応できるものもあります。また、映画館のように段差に応用が必要で場所でも対応することができます。
このように、置き床工法のメリットの一つに、床のレベルが自由に決められる事や既存床のリフォームにも対応できることです。床下スペースを利用して給水管や排水管、さらにはエアコンの冷媒管などを配管できますし。キッチンのレイアウト変更や追い焚き配管の設置が可能になります。
水回りの設備だけでなく、様々な配管を柔軟に配置できるようになります。

段差を解消する置き床工法

置床工法を使うと、床が一段と上がり、見た目にも自然な仕上がりになります。
特に、古い住宅やマンションは、部屋と部屋の間に段差が生じていることがあり、転倒のリスクを高める原因になっています。小さな子どもや高齢者がいる家庭では、意識されていない方が多いものの、このような段差は大きな懸念事項となっています。

さいごに

置き床工法を選択する際の費用は、実施する範囲によって大きく異なります。

マンションを丸ごとリノベーションする場合、スケルトンリフォームと同様に大掛かりな作業が必要となり、その分、費用も高額になります。一方で、特定の部屋やエリアだけに施工する場合でも、期待する効果が得られないことがあります。
特に、段差解消が目的の場合、全体的なバランスを考慮しないと、不十分な結果に終わる可能性があります。

小規模であれば、下地材とフローリング材を用いて高さを調整する手法が費用対効果で優れています。
低コストで実現可能ですが、防音や断熱といった性能の向上は期待できません。
最終的には、お住まいの現状や予算、そしてリフォームに求める目的を総合的に考慮し、最適な工法を選ぶことが重要です。リフォームは単に見た目を良くするだけではなく、居住性の向上や将来の価値を考えた上での投資とも言えるため、慎重に検討する必要があります。

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