「うおぉ、でけぇな……」
朝日が昇る中、俺たちは新しい商業施設の現場に降り立った。
どこまでも続くような巨大な建物がそびえ立ち、その規模に思わず口が開く。
「これ、ほんとに人が使うのか? 空港みたいだぞ……」しかし、最近の現場は本当に大型化が進んでいるなぁ!対応できない床ばかりになったらどうすんだっ!そんな冗談を言いながらも、俺たちの使命はひとつ。
この広大な空間に、最高の床をつくることだ!
施工場所へ向かうと、壁にはボードがしっかり張られ、床には余計な物が一切ない。
「おっ、ちゃんと片付いてるな。これなら気持ちよく仕事できる!」
職人の戦場は、まずは清掃から。きれいに整った床を見て、みんなの士気も高まる。
さぁ、ここに新しい命を吹き込むぞ!
まずは「捨て貼り」。これは仕上げの床材を美しく、そして強くするための大事な工程だ。
「いくぜっ! バシッ、ペタッ、ガンッ!」
滑らかな合板を一枚一枚張っていく。ここでのポイントは、後の仕上げを考えて表面を平らにすること。
少しの段差も許されない。
「おい、ここ、もうちょい押さえてくれ!」
「おう! バッチリだ!」
声を掛け合いながら、どんどん床が整っていく。
この工程が終わるころには、すでに俺たちは汗だくになっていた。でも、まだまだ終わりじゃない。
「ここから先は、別の床材になるエリアだからな!」
そう、床は一種類とは限らない。エリアごとに違う素材を使うことで、空間にメリハリをつけたり、動線を分かりやすくしたりする。今回は、この「見切り」をしっかりつけて、空間に面白い表情を与えていく。
「この見切りをつけることで、壁がなくてもエリアの境界を認識できるってわけだな」
見切りは、ただの境界線じゃない。これがあるだけで、フロアの印象がガラッと変わる。遊び心を加えれば、ただの通路がアートにもなる。「さぁ、取り付け開始だ!」
見切り材をしっかり固定していく。「バシッ!」「ガガガッ!」「トントン!」
まるで楽器を演奏するかのように、工具の音が響き渡る。
リズミカルに進む施工は、まるで職人たちのシンフォニーだ。
「おい、ちょっと見てみろよ!」
職人のひとりが指差した先には、まるで床だけで部屋ができたかのような、美しい仕上がりが広がっていた。
「おぉ、見切りをつけるだけで、こんなに印象変わるんだな!」
「これぞ、床のマジックってやつよ!」
こうして、空間がひとつのアートになっていく瞬間が、俺たちの醍醐味だ。
◆今日はここまで!明日も頼むぜ!◆
「よし、ここまででひと段落だな!」
ふぅっと息をついて、現場を見渡す。今日の仕事の成果が、しっかりと床に刻まれている。
「おつかれさまでしたー!」
職人たちは工具を片付け、達成感を胸に帰路につく。明日も、またこの続きだ。
「この巨大施設が完成したとき、俺たちの仕事が誰かの生活の一部になる。」
その瞬間を思い描きながら、また次の現場に向けて英気を養うのだった――。