マンションや集合住宅で床材を選ぶとき、”ΔLL(I)-4等級相当”という表記を見かけたことはありませんか?これは、床材が持つ軽量床衝撃音に対する遮音性能を示す重要な指標のひとつです。
この記事では、ΔLL(I)-4の意味を分かりやすく解説し、関連する遮音等級の種類や選び方、リフォームや新築時の床材選定に役立つ知識を詳しくご紹介します。
遮音等級の基礎知識|ΔLL(I)-4は何を意味するのか?
遮音性能を数値化して表示する指標のひとつに「ΔLL(I)等級」があります。これは、床衝撃音のうち“軽量床衝撃音”に対する床材の遮音性能を示すもので、日常生活の中でよく発生する「スプーンの落下音」や「イスの移動音」などの小さく高音な衝撃音への対応力を表します。
ΔLL(I)-4とは?
- Δは「差分(デルタ)」を意味し、床材がどれだけ床衝撃音を低減するかを表現しています。
- LL(I)は「軽量床衝撃音(Light-weight Impact noise)」の略称で、主にイスを引く音や軽い物を落としたときの音を対象にします。
- 末尾の「4」は等級を表しており、数字が大きいほど遮音性能が高いことを意味します。
→ ΔLL(I)-4は、軽量床衝撃音に対して比較的高い遮音性能があることを意味し、マンションのフローリング材などで一般的に使われるレベルです。
遮音等級の種類と違い|LL値・LH値・ΔL等級の理解を深める
床の遮音性能には複数の指標があります。それぞれの指標の意味を正しく理解することで、自分の住まいに最適な床材を選ぶ判断がしやすくなります。
LL値(軽量床衝撃音)
- 音がどれだけ下の階に響くかを示す指標で、数値が小さいほど遮音性が高い(例:LL45、LL40)
- ΔLL等級と違い、実際の部屋に設置した状態で測定されることが多く、生活実感に近い数値です。
LH値(重量床衝撃音)
- 走る音、飛び跳ね音、重い物の落下音などの“重量衝撃音”を対象とした遮音性能指標
- 建物の構造(スラブ厚など)に強く影響され、床材だけで対処するのは難しい
ΔL等級
- 実験室環境で測定される床材単体の衝撃音低減性能を表す指標
- ΔLL(I)-4のように、”素材がもともと持つ性能”を評価するための等級
→ ΔL等級はあくまで実験値ベースの性能、LL/LH値は実生活での遮音性能の指標。両者の違いを理解して使い分けることが大切です。
ΔLL(I)-4等級の床材はどんな人におすすめ?
ΔLL(I)-4等級相当の床材は、集合住宅や二世帯住宅、特にフローリングを使用したいけれど音が気になる家庭に適しています。
特に向いているケース
- マンションの管理規約で「LL45相当以上」の床材使用が求められている場合
- 小さなお子様がいるご家庭で、椅子の出し入れやおもちゃの落下音が気になる場合
- ペットの爪音や走り回る音に配慮したい場合
→ LL値とΔL等級が記載されたカタログを見比べることで、どの床材が自分のニーズに合っているかを判断しやすくなります。
ΔLL(I)-4等級のフローリング材選び|選ぶ際のチェックポイント
床材を選ぶ際は、単に「等級が高い」だけではなく、施工方法やマンションの条件、自分の生活スタイルに合っているかを確認することが大切です。
フローリング材選びのコツ
- 等級の信頼性:JIS規格や建材メーカーの試験データがあるかを確認
- 下地との相性:直張りか二重床かによって性能が変わる場合がある
- 表面材の仕上げ:メンテナンス性、傷つきやすさ、滑りやすさなども含めて総合判断
→ 防音だけでなく、耐久性やメンテナンス性も含めて選ぶと、長く快適に使い続けられます。
注意点|ΔLL(I)-4でも重量床衝撃音には効果が限定的
ΔLL(I)-4等級は軽量床衝撃音への性能を示すものであり、重量床衝撃音には基本的に効果がありません。つまり、大人がかかとで歩いた音や子どもがジャンプした音のような”ドスン”という振動音には別の対策が必要です。
重量床衝撃音対策には以下が効果的
- スラブ厚のあるマンションを選ぶ(200mm以上)
- 下地に制振材やダンパーを使ったリフォームを行う
- 天井に吸音材を設置するなどの受動的対策
→ 軽量衝撃音と重量衝撃音では発生メカニズムが異なるため、床材選びだけに頼らない複合的対策が重要です。
まとめ:ΔLL(I)-4の性能を正しく理解して、住まいの快適性を高めよう
ΔLL(I)-4は、軽量床衝撃音に対して高い遮音性能を持つことを示す等級であり、マンションや集合住宅における床材選びにおいて、重要な指標のひとつです。特に小さなお子様やペットがいるご家庭では、その性能によって生活の快適性が大きく変わる可能性があります。
遮音性能の等級表示(ΔLL(I)・LL・LHなど)はそれぞれ意味が異なるため、カタログや製品説明を正しく読み解き、自分のライフスタイルに合った床材を選ぶことが大切です。最適な床材を選ぶことで、快適で音に悩まない住まいを手に入れましょう。