置き床には根太を使う?使わない?工法の基本を押さえよう
建物の床下構造には、大きく分けて「根太(ねだ)」を使用する工法と、使用しない工法の2種類があります。
この記事では、近年マンションや商業施設などでよく採用される「置き床工法(おきゆかこうほう)」における根太の役割や、根太を使う工法との違いについて詳しく解説します。
置き床とは、鉄筋コンクリート構造の建物で採用される床工法で、コンクリートスラブの上に支持脚(束)を設置し、その上にパーティクルボードなどの下地パネルを敷き、さらにフローリングなどの仕上材を施工する構造を指します。
このとき、根太を使用するかどうかは工法によって異なります。
根太床工法とは|従来からある安定感のある床構造
根太床工法の特徴と構造
根太床工法とは、大引(おおびき)と呼ばれる構造材の上に、床材や床下地合板を支えるために根太を設置する工法です。
根太は床板に直交する形で並べられ、床にかかる荷重をしっかりと分散し、大引を通して基礎に伝えます。
木造住宅や在来工法で広く使われている方式です。
根太床工法のメリットとデメリット
メリット
◆耐震性が高く、揺れに強い構造になる
◆床下に通気が生まれ、湿気やカビの対策になる
◆細かな高さ調整ができ、傾斜地でも施工可能
デメリット
◆根太の施工が必要になるため、工期が長くなりやすい
◆木材コストがかかりやすく、全体の予算も上昇
この工法は、特に戸建て住宅や耐久性を重視する空間に向いています。
置き床工法とは|支持脚とパネルでつくる現代的な床下地
支持脚工法とパネルの仕組み
置き床工法では、根太を使用しない代わりに、支持脚(しじきゃく)と呼ばれる高さ調整可能な脚を使います。
この支持脚をコンクリートスラブの上に設置し、その上にパーティクルボードなどのパネルを敷いて床面を構成します。
支持脚の間隔や高さは用途に応じて調整でき、施工性が高く、バリアフリーや設備配管にも対応しやすいのが特長です。
置き床工法のメリットとデメリット
メリット
◆工期が短く、コストパフォーマンスが良い
◆床下に空間を設けられるため、配線・配管がしやすい
◆支持脚のボルト調整により、高精度な水平が確保できる
デメリット
◆木造に比べると耐震性や強度面で不安が残る
◆重量物を置くと、沈みやすくなることも
◆置き床は、商業施設やマンション、オフィスビルなど、床下配線が多い空間に最適です。
根太とは何か?床構造に欠かせない基本材
根太の役割と構造的意味
根太とは、床板を支えるための横架材で、大引の上に設置して床材を載せる構造材です。
床板の荷重を分散し、下の構造材へと伝達するため、床のたわみや沈み込みを防ぐ重要な役割を果たします。
根太のサイズや間隔は、使用する床材や建物の構造に応じて調整されます。
標準的な木造住宅では303mm~455mm程度の間隔で設置されることが一般的です。
際根太との違い
壁際に設置される「際根太(きわねだ)」は、床材の端部を支えるために配置されます。
壁際の床沈みや浮き上がりを防ぐために不可欠な部材で、置き床でもパネル際に追加補強として使われることがあります。
置き床と根太床の選び方|用途や目的に応じた工法を
それぞれの工法にはメリット・デメリットがあり、用途によって最適な方法が異なります。
置き床がおすすめなケース
配線・配管スペースが必要なマンションやオフィス
防音・断熱など複数の性能を求める居住空間
工期を短く抑えたいリフォーム工事
根太床がおすすめなケース
木造戸建てでの新築住宅
耐震性・通気性を重視する場所
長期間使用する床に安定性を求める場合
まとめ|床の構造は建物の寿命と快適性を左右する
置き床と根太床、それぞれの工法には異なる利点があります。
どちらを選ぶかは、建物の構造や用途、求める機能性によって決まります。
床下に配線を通したい、床の水平を精度よく仕上げたい、そんなときは置き床が便利です。
一方、強度や耐震性を求める場合は根太床工法が向いています。
建築やリフォームの際には、専門業者と相談しながら、最適な床構造を選びましょう。