「新しいデスクを入れたいけど、OAフロアに傷がつかないか心配…」「重いキャビネットを置いたら床がヘコむかも…」といった悩み、ありますよね。
施工業者から「OAフロアは大丈夫です」と言われても、実際の荷重分散対策が分からず不安になる方も多いはず。
「見た目を損なわずに対策したい」「予算を抑えつつ安全を確保したい」という声もよく聞かれます。
本記事では、OAフロアの耐荷重性能を最大限活かす荷重分散のポイントから具体的な対策方法、選び方までを徹底解説。
これを読めば、オフィスの機能性と快適性を両立できる理想の床環境が手に入ります!
なぜOAフロアの荷重分散が重要なのか
OAフロアは床下に配線スペースを持たせ、メンテナンス性やフレキシビリティを高める乾式二重床システムです。
しかし、構造上パネルと支持脚で荷重を分散する仕組みのため、集中荷重が加わると過度な局所沈下やパネル割れ、支持脚の破損を招く恐れがあります。
特に、サーバーラックや重厚な書棚、重量級キャビネットなどを設置する場合は、水平荷重をきちんと把握し、予め分散対策を施すことが不可欠です。
荷重分散を怠ると、修理コストや作業中断リスクが高まり、結果的にオフィス稼働率やコスト効率を下げてしまいます。
集中荷重のリスク:局所的に大きな荷重がかかるとパネル割れや支持脚ずれが発生します。
動荷重の増幅:キャスター移動など動的な荷重は瞬間的に静的荷重以上の力が加わるため、設計時の安全マージンを確保する必要があります。
長期的なメンテナンス負荷:繰り返しの集中荷重で床材が変形すると、メンテナンスや修繕にかかる時間とコストが増大します。
荷重分散の基本ポイント
荷重分散とは、局所的な荷重集中を避け、床全体に均等に力を分散させる対策です。
OAフロアでは以下の点を押さえることで、耐荷重性能を維持し、長期にわたり安心して使用できます。
1,負荷を均等に分散させる
支持脚やパネルが荷重を受け止める範囲を広げ、局所圧力を低減します。
2,適切な架台・台座を使用する
家具の脚先にはフェルトパッドや大径キャスターを設置し、床面へのダメージを軽減します。
3,保護マットやタイルカーペットを敷く
床面と家具・機器の間に緩衝材を挟むことで、静的・動的荷重をさらに分散します。
4,メーカー指定の最大耐荷重を守る
製品仕様に記載されたN/㎡を超えない設計を徹底し、過荷重による破損リスクを回避。
5,定期的な表面メンテナンス
ワックスコーティングや塗装の再施工で表面強度を維持し、摩耗や小傷からパネルを保護。
6,早期補修と点検
傷やダメージを発見したら速やかに補修し、支持脚やパネルの構造劣化を防止。
具体的な荷重分散対策方法
家具脚へのフェルトパッド/キャスター取付
重い机やキャビネットの脚先に直置きすると、鋭角部に荷重が集中してパネルを傷めます。
そこで、下記の対策を行いましょう。
フェルトパッド
家具脚に装着するだけで面圧を広げ、静的荷重を緩やかに分散します。
補足:厚さ2〜3mm程度の高耐久フェルトを選ぶと、長期間にわたり耐摩耗性を維持できます。
大径キャスター
直径50mm以上の大径キャスターを使用し、動荷重時の床面への衝撃を和らげます。
補足:回転式キャスターでは2点支持のような荷重集中が起こりやすいため、4点支持タイプや幅広ローラーを選ぶとより効果的です。
床保護マット・カーペット敷設
OAフロア表面に敷く緩衝材として、以下の選択肢が有効です。
材料 | 特徴 | 使い方例 |
---|---|---|
床保護マット(PVC/TPR) | 柔軟性があり衝撃吸収性に優れる | 机の下全域に敷き、移動音も低減 |
タイルカーペット | 着脱可能でデザイン性が高い | 通路や作業エリアにゾーン分けで配置 |
EVAフォームマット | 軽量で厚みがあり、クッション性抜群 | サーバールームなど長時間立ち作業箇所 |
敷設時のポイント
・フロアパネルの目地とマットの継ぎ目が重ならないように配置。
・マット端部にはすり付けテープを活用し、段差を最小化。
OAフロアと耐荷重の基礎用語解説
OAフロアの耐荷重性能を正しく理解するために、関連用語を押さえましょう。
耐荷重(許容荷重)
定義:一平方メートルあたりに加わる最大静的荷重。N/㎡(ニュートン/平方メートル)で表記され、1N=約0.102kgf。
補足:メーカー仕様書には「均布荷重」と「集中荷重」の両方が記載されています。
集中荷重は小面積でかかる荷重のことで、数点支持の際は均布荷重より小さい集中荷重を参照する必要があります。
均布荷重 vs 集中荷重
均布荷重:床全体に均等に荷重が分布した場合の耐荷重。
集中荷重:特定の小面積(φ125mm円板など)にかかる荷重の耐性。
補足:集中荷重は家具脚や機器脚が当たる部分の荷重を想定しており、均布荷重だけでなく必ず確認する項目です。
他の床保護方法との比較表
OAフロアにおける荷重分散対策を、他の床保護方法と比較しました。
対策方法 | 衝撃吸収性 | コスト | デザイン性 | 施工容易度 |
---|---|---|---|---|
フェルトパッド | 中 | 低 | △ | ◎ |
大径キャスター | 高 | 中 | ○ | ○ |
床保護マット | 高 | 中~高 | △~○ | ◎ |
タイルカーペット | 中 | 中~高 | ◎ | ○ |
EVAフォームマット | 高 | 低~中 | △ | ◎ |
OAフロアを長持ちさせる荷重分散の極意
OAフロアの耐荷重性能を守るには、荷重を床全体に均等に分散させる工夫が不可欠です。
家具脚へのフェルトパッド・大径キャスター装着、床保護マットやタイルカーペットの敷設、メーカー推奨荷重の厳守、定期的な表面メンテナンス、ダメージの早期補修といった対策を組み合わせることで、長期にわたり安全で快適な床環境を維持できます。
オフィスやサーバールーム、会議室など、用途に合わせた最適な荷重分散策を計画し、コスト効率と品質を両立させましょう!