現調レポ:これは削れる?削れない?
さて本日の現調先は、築15年を超える某分譲マンション
朝イチ、依頼を受けたのは「床がちょっと黒ずんできたので、そろそろ削って綺麗にしたい」という相談。
おぉ、来たなこのパターン。
そう、見た目は木っぽいフローリングだけど…果たして本当に研磨できるのか?
多くのお客様が悩む、第一声だっ!
今日も現調の現場に向かいながら、コーヒー片手にPODキャストを聞く。
こういう時、職人の直感と経験がものを言う。削れるか削れないかの境界線、今日も見極めに行くぜ。
現場に到着。パッと見は「うん、木だな」って思うんだよな…
プロでも、遠目からでは分からないほど、最近のシート系フローリングや複合フローリングは精巧にできていると思う。
こんな時、食品サンプルを見て美味しそうだなって思った時の事を思いだす。
すでに、フローリングも、その域まで達しただろう!そんな風に思っているのは自分だけだろうか?
さて、脱線してしまったが、玄関開けて一歩。
フローリングはそこそこ綺麗。
でもよく見ると、細かい擦り傷とシミ。
業者的には「おっ、これは削れそう?」と期待してしまう。
しかし…なんか、違和感。
触った感じが“木”というより“プリント”。
しかも微妙にツルっとしてる。
これ、シートか?と思いながら一部をライトで照らすと、あ、やっぱり…木目が印刷された化粧シート系フローリングだった。
削れない床の正体、シートフローリングとの遭遇
シートフローリングは、表面が木ではない。
オレフィンとかメラミンとか、要は“プリントシール”。
ベースはMDFやベニヤなんだけど、表面は見た目だけ木っぽくしてるだけだから、サンダーで削ると模様を剥がれることになる。
つまり削った瞬間に“ただの板”が出てきて終わり。
現場のお客様にも「これ、削ったら逆に残念な感じになりますよ」と正直に伝える。
これね、結構ショック受けられる方多いのよ。
続いて突板(つきいた)タイプか?と期待するケース!でも薄い!
違う現場でのチェック例も。中にはやや木目っぽさの強い床材が。
でもこれ、突板系かな?とある方法を使ってチェックしてみると、複合だと確信!
これも0.6mmくらいなんで削ると下地が出る!
うーん、これもアウト。
突板って見た目は完全に木だけど、削れる厚みがないとアウト。
研磨で失敗したら一発で“茶色の地層”が顔を出す。張り替えるならともかく、再生は難しいな。
じゃあ削れる床ってどんなの?やっぱり無垢と挽板!
こうなってくると、逆に削れる床ってどれよ?って話になるわけだけど、やっぱり王道は無垢材。
全体が木だから、2回でも3回でも削って再生できる。…あっ、言い忘れてました。削れるのは状態にもよるんだけどが正解です。
次点は挽板(ひきいた)フローリング。
これは3~6mmの厚い木が貼られてるタイプ。
1〜2回の研磨なら十分いける。
見分けは難しいんだけど、フローリングの節とかで分かったりするから、職人はそういうとこで判断してる。
「え、これ削れると思ってたのに」が起きないためのアドバイス
今日の現場でも、お客様は「見た目木っぽいから削れると思ってた」とポツリ。
そう、見た目だけじゃ分からないのが床の世界なんですよ。
だから、商品名や図面が分かればすぐ確認できるし、分からない時は「分からないんだけど」と一言いただければ、現調時に判断できます。
無理にリフォーム方法を削る方法にこだわって、後悔するってパターンだけは避けたいところ。
削れない床でも諦めない!他にも選択肢はある
ちなみに、「じゃあ張り替えしかないの?」と思う方、ちょっと待って!
削れないフローリングでも、補修クレヨンで埋めたり、同じ材料が手に入れば部分張替え、もしくは上から新しい床を張るという方法がある。
もちろん、私たちは生粋の床や、この道60年近いあらゆるフローリングリフォームを自社施工で対応している。
特に重ね張りは手軽だし、最近の薄型フローリングは下地を選ばずに施工できるものも多い。
現場の条件次第で、色々なアプローチができるから、あきらめないで!
削れる?削れない?それを見極めるのがリフォームの第一歩
今日の現場も「削れない床」ではあったけど、それをしっかり伝えた上で、次に何ができるかを一緒に考える。
これが職人の仕事。
無垢や挽板フローリングなら研磨再生という選択肢があるけれど、シートや突板タイプは素材の限界を見極めてあげないといけない。
現場でその判断をするのが、我々の役目。
床は削ればいいってもんじゃない。
素材と向き合い、状態を見極め、最適な提案をする。
それが現調という名の“プロの現場力”なのだ!