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乾式二重床(置き床)のデメリットとは?導入前に知っておきたい注意点と対策

乾式二重床(置き床)は、配線スペースや遮音性の確保など多くの利点がある一方で、設計や施工、使い方によってはデメリットも存在します。本記事では、乾式二重床の導入を検討している方に向けて、直床との違いや具体的なデメリットを分かりやすく解説します。また、それぞれのデメリットに対する対策や注意点も併せて紹介するので、失敗のない床計画にお役立てください。

乾式二重床とは?構造と基本的な仕組み

乾式二重床とは、コンクリートスラブの上に支持脚(ボルト脚)とパネルで構成される床を浮かせるように設置した構造です。パネル同士は連結されておらず、施工時に接着剤やモルタルなどを使わないため「乾式」と呼ばれています。配線空間が確保でき、遮音性やメンテナンス性に優れることから、オフィスやマンション、学校施設などでも多く採用されています。

しかし、万能ではありません。設計や使い方を誤ると、使いづらさや構造上の問題が出てくる場合があります。

費用と工期がかかる:施工工程の複雑さに注意

乾式二重床は、直床に比べて部材の数も多く、施工工程が複雑になります。その結果、工事費用や工期は直床よりも高くなる傾向があります。

なぜ費用がかさむのか?

→ リノベーションやコストを重視した住宅では、直床と比較して施工費用が20〜30%程度高くなることもあります。

こんな人に向いている

費用よりも遮音性や配線利便性を優先したい、集合住宅やオフィスビルなどが乾式二重床に適しています。

天井高が低くなる:設計段階での考慮が必要

乾式二重床は、床下に空間を設けるため、スラブから仕上げ床までの高さが高くなります。結果として、室内の天井高が低くなることがあります。

どのくらい天井が低くなるのか?

→ 圧迫感が出る恐れがあるため、リビングや寝室など開放感が求められる空間では注意が必要です。

解決策の例

重量物による床のたわみ・傾き:家具配置に要注意

乾式二重床は、支持脚によってパネルを支える構造のため、過剰な荷重が一点に集中すると、床がしなったり傾いたりする可能性があります。

なぜ傾くのか?

→ 重量物を設置する可能性がある場所は、あらかじめ補強パネルや支持脚の追加設計を検討しましょう。

対策例

重量床衝撃音への弱さ:「太鼓現象」による音の拡散

乾式二重床は、歩行音や椅子を引く音にはある程度の遮音性を発揮しますが、「重量衝撃音」には弱い傾向があります。特に、ジャンプや重い物を落としたときの音が問題になることがあります。

太鼓現象とは?

床の下に空洞があるため、音が共鳴して周囲に広がる現象です。太鼓を叩いたときのように、空気の振動によって音が響き渡る構造になってしまうため、このように呼ばれます。

解決策と最新工法

→ 高層マンションやファミリー世帯では、床衝撃音の等級(L値)に注意し、防音仕様の確認が重要です。

リノベーション時の課題:高さとコストの問題

既存建物のリノベーションで乾式二重床を導入する場合、特に次の2点に注意が必要です。

1. 既存天井高との兼ね合い

古い住宅は天井高が2,300mm以下であることも多く、乾式二重床を導入すると圧迫感が強まることがあります。

2. 費用増

直床から乾式二重床へ変更することで、設計変更、部材の追加、施工工程が増え、想定以上のコストがかかる場合があります。

→ リノベ前に、床材の種類・厚み・遮音等級・天井高を総合的に比較しておくことが大切です。

まとめ:乾式二重床は利点と課題をバランスよく把握することが重要

乾式二重床は、遮音性やメンテナンス性、配線の利便性など多くのメリットがある一方で、「費用」「天井高」「重量対応」「音」などのデメリットも抱えています。これらの課題は、設計段階での配慮や、施工時の適切な対策によってある程度解決可能です。

導入を検討する際には、建物の用途・使用者のニーズ・家具の種類や配置計画なども踏まえたうえで、総合的な判断を行いましょう。専門業者に相談して、最適な床仕様を選ぶことが、快適で安心な空間づくりへの第一歩です。

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